新型コロナウイルスの影響でより身近な存在になった除菌水。あちこちで見かけることはありますが、どのような人たちが、どのような想いでつくっているか、なかなか知る機会はありません。
そこで、高校生のころから「技術の力で、廃棄物問題を解決したい」と考えていた小野さんに、いったいどのような生き方をされてきたのか、インタビューしてきました!
目次
小野さんのお仕事
★小野朋子(おの ともこ)さん
微生物の研究や試験をする
水のように、においもありません。施設や病院の場合は、生成装置をおいて、蛇口をひねると使いたいときに使うことができ、掃除をしたり、食材も洗うことができます。
『スーパー次亜水』生成装置
さまざまなシーンで使われている『スーパー次亜水』
微生物試験中の小野さん
微生物効果試験の様子
微生物シャーレ(納豆菌の仲間)
微生物写真(野菜より培養)
「コロナ疲れ」とよく言われますが、収まってくると、コロナ前の衛生対策もしなくなっているところは、ちょっとあるかなと思います。時間の経過とともに、衛生対策の考え方も変化するのでしょうね。
2つめは、機械やサービスを届け続けることです。突然「このサービス・機械が使えなくなりました」となると、お客さまに迷惑をかけてしまうので、届けながら進化させていくことを大切にしています。
また研究開発部には微生物試験や化学試験を行うメンバーが私を含め2名のみなので、それぞれ助け合いながら、さまざまな領域に携わっています。中小企業あるあるかもしれませんね。
未来の理系や技術士を増やす
取得者としては建設コンサルタントが多く、建設系資格のイメージが強いですが、建設部門の他に20もの部門があります。電気電子、機械をはじめとして医学を除いた理科系のほとんどの分野があり、私は生物工学と衛生工学分野の技術士です。
団体の活動としては定期的な講演会の企画や、若手技術者が技術士になるためのお手伝い、お子さん向けに理科教室の実施や、大学で女子生徒とおしゃべりなど、理系の人や技術士を増やす取り組みをしています。
理科教室の様子1
理科教室でつくったつかめる水
技術士の資格を取得するまでは、生物のことばかり学んでいて、専門外の分野のことに興味や知識が全然なかったんです。
ところが、技術士のなかには道や橋をつくる人もいるので、いままでだったら何も思わずに素通りしていた場所でも、「ここがあの人がつくった橋なんだ!」と気づけるようになってくるじゃないですか。こういった社会や世界の広がりが楽しいです。
和気あいあいとした雰囲気の技術士会 技術者女子会
小野さんのこれまで
きっかけはフィールドワーク
廃棄物の山を見たときに、「社会って、うまく回っていないところもあるんだな」と感じました。高校生のころは、環境問題があることを知っても、自分では何もできないことに必要以上に心を痛めてしまうようなところがあったんです。
そんな中で自分なりに廃棄物の問題解決を考えたときに、法律を変えるなどさまざまな解決の糸口が思い浮かぶなかで、有力な糸口の一つは「技術じゃないかな」と私は思ったんですよね。
そこで環境問題や技術的なことを勉強したいと、島根大学の生物資源科学部環境共生科学科に進学しました。
豊島フィールドワーク
ハードながら楽しい研究生活
大学の研究室にて
背中を追いかける研究者とは
教授が研究成果を出し、先を走ってくださるので、私たちもその情報を踏まえた研究ができるので、ありがたいです。背中をずっと追いかけています。
ウイルスなどとどう付き合っていくかは、人類にとって永遠の課題です。人間側が、今回思った以上にあたふたしたところもあるので、ウイルスとうまく付き合っていくような素地をつくることを、ライフワークとしてやっていきたいです。
現在45歳です。仕事以外にもう1つぐらいライフワークがあったらという想いはありますが、探し中です。
若者へのメッセージ
決めるときに、「マイルール」をつくると決めやすくなったりします。たとえば私はAとBの選択肢があった場合、それぞれの未来を思い浮かべてみて、どちらが楽しそうかを感じると決めやすくなりました。ほんの一例なので、みなさんそれぞれにあった決め方があると思いますよ。心から応援しています。
学会発表中の小野さん
(編集:横山麻衣子)