良いWebサイトをつくるためには、デザインのセンスや、プログラミングなどの技術力が一番大切だと思うかもしれません。
でも実際には、お客様との「コミュニケーション」がもっとも重要だと、濱岡さんは話します。
相手の気持ちや困っていることを知るからこそ、その会社にとって本当に良いWebサイトができる。濱岡さんは、技術だけでなく「人と向き合うこと」を大切にしながら、良いものづくりを目指しています。
★濱岡 龍之介(はまおか りゅうのすけ)さん
★横山風花(よこやま ふうか)さん

目次
Webエンジニア・濱岡さんのお仕事
見た目の再現だけではない「フロントエンドエンジニア」の仕事


ただ事業がバラバラにあるわけじゃなく、会社には「手の届く場所から未来を変える」という素敵なパーパスがあって、それが全部の事業の根っこにあるんです。






「バックエンドエンジニア」は、主にみなさんが見る画面には映らない裏側のシステムを扱う人たちで、たとえばWebサイト内の情報の管理や整理など、Webサイトが動く仕組みを支える役割を担っています。
一方、僕が担当する「フロントエンドエンジニア」は、Webサイトの“見た目”をつくるのが主な役割です。デザイナーさんがつくったデザインを、Web上でその通りにパッチ※にしていく、言わば、“かたちにする”仕事です。
※パッチ:語源は、継ぎ当て(patch)。エンジニアの間では、何かを修正したり、形にしていく時に使います。ここでは「デザインをそのままウェブで再現する」という意味で使っています。
ただ、Webサイトは長く使われるものなので、見た目の再現だけでなく、保守や運用のしやすさも考えてコードを書く必要があります。



仕事の様子(右が濱岡さん)
「自分に合う場所」を探してきた濱岡さんのこれまで
自分に魅力がないから!? 友達がいなかった学生時代


県内の普通科高校に進学すると、学校が荒れていないことが新鮮で「こんなに平和なんだ〜」と感動しました。しかし、「勉強も楽しくできそう」と思っていたのもつかの間、今度は周りが優秀過ぎて、自分の学力レベルを思い知らされることになってしまいました。要領が悪いのか、予習・復習にも取り組んで、授業もしっかり聞いているはずなのにテストで点が取れない。結構しんどかったです。中高を通して「うまくいった」と思える経験は、ほとんどなかったかもしれません。
それに、友達もできなくて。当時は「自分が悪いから友達ができないんだ、もっと魅力的な人間になりたい」と、ずっと思っていました。


大学進学を保留にし、フィリピンへの語学留学にチャレンジ!


行き先はフィリピン・セブ島で、期間は約4ヶ月間。費用が安くて、ちょっと厳しめな環境を探しました。行ってみると、リゾート地から離れた山奥で、ちょっと歩いた先はスラム街みたいな場所でした。平日は外出禁止、土日しか外に出られず、ひたすら「勉強しなさい」という環境で、同じ学校の友達は「監獄」と呼んでいました(笑)。


「でも、帰れないし……頑張るしかない」と、授業後はずっと自習室にこもって勉強を頑張っていました。そうしたら先生から「誰とも話さない、“サイレントボーイ”だね」と変なあだ名をつけられて、すごく不本意でしたね(笑)。
それでも、1ヶ月、2ヶ月と過ぎるうちに、ちょっとずつ話せるようになっていきました。



フィリピン留学中の濱岡さん(2列目左端が濱岡さん)
友人づくり、プレゼンテーション、サークル活動…… 行動と挑戦の大学時代




英語の勉強以外では、プレゼンテーションに熱心に取り組んでいました。「キャリアデザイン」という授業では“社会に出る前に必要なスキルを身につけましょう”という考えのもと、プレゼンする機会が多くあったんです。「自分の考えや思っていることを人に伝えること」が楽しくて夢中になりました。


また、スライドづくりから、デザインに興味を持つようになって、ちょこちょこデザインの勉強をするようになりました。


活動の目的は、学生の意識を変えること。例えば「自分は過去こうだったからダメなんだ」ではなくて、「未来こうなりたいから、今こうしよう」というように、考え方を前向きに切り替えていく。そんなテーマで、学生に向けたイベントを開催していました。
そこでもポスターやチラシをつくるタイミングに恵まれ、ますます「デザインって楽しいな」と思うようになりました。
障害者支援施設で学んだ、“基礎固め”の大切さ


一つは、デザイン系。自分がつくったものを誰かに提供できるような仕事がしたいという思いからです。もう一つは、教育や福祉系。フィリピンで物乞いをしている子どもたちを目にした経験や、大学に入ってから、自信をなくしている学生たちに出会ったことで、「立場の弱い人の力になりたい」という思いが芽生えたからです。何かしらの事情で劣等感を抱えていたり、ネガティブな考えになっている人たちを少しでもサポートできたらいいなと感じていました。
そこで、後者の軸を選び、障害者支援施設に就職することを決めました。




しかし、諦めずに続けていくと、徐々に「療育をうまく進めるための法則」のようなものがつかめてきました。基礎をしっかり固め、実践を重ねることで、できることが少しずつ増えていく。そこで「基礎と積み重ねの大切さ」を実感した経験は、今の仕事にも活きていると思います。
デザイナー志望から、偶然運ばれた“エンジニア”という職業


勉強しながら、岡山県内で素敵なWebサイトをつくる会社がないかと探していたところ、クラビズの存在を知ったんです。ホームページで見た実績やデザインに惹かれて応募したのですが、まさか内定をいただけるとは思っていなかったので、本当に運とタイミングに恵まれたと思っています。




ただ、それはWebサイトをつくるだけでは実現できません。たとえば会社のホームページなら、その会社の魅力をWebサイトという“形”にはできますが、一番大切なのは会社そのものの中身ですよね。社内の制度や環境を含めてより良くしていかないと、Webサイトも本当に良いものにはならない。だからこそ僕は、Webサイトづくりを通して、お客様の会社自体がより良くなっていくような関わり方をしていきたいと思っています。


Webサイトをつくるには、エンジニアが構築することや、デザイナーさんがデザインすること以上に、お客様とのコミュニケーションが一番大切だと考えています。
テクニカルディレクターを目指す濱岡さんからのメッセージ








失敗して「もう嫌だ」と思う瞬間があっても、今できることを一つずつやっていくこと。そして、その中で何か新しく挑戦できることを見つけてやってみること。その積み重ねが、きっと「自分がいたいと思える場所」に繋がっていくんじゃないかと思っています。
(編集:中村 暁子/執筆:大島 爽)

