岡山から官公庁や民間企業のデジタル化を支えるIT企業・両備システムズ

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公開日 2023.04.09

2023年4月から新たに発足する「こども家庭庁」をご存じですか?この新たな機関に対応すべく「こどもに関する連携プラットフォーム『こどもの杜』」を開発している岡山県のIT企業・株式会社両備システムズ。地方公共団体をはじめ、医療機関、学校、幼稚園、保育園など、多くの機関に対してサービスを提供しています。

 

今回は情報系学部の大学生・あかりんが、この気になる会社の営業職・脇本 竜之介(わきもと りゅうのすけ)さんとシステムエンジニア・植本 壮一郎(うえもと そういちろう)さんを直撃してくれました。

 

岡山が誇るIT企業のお仕事とは……いざ、深掘り!

企業活動を深掘りしてみる

中央省庁にもシステムを提供している岡山県のIT企業

ーー両備システムズさんはどのような事業を行っているのですか?

 

主に官公庁と民間企業のお客様に対して、ITを活用した課題解決を行っています。たとえば市民の税金や水道料金の計算、市役所内の人事や給与計算に関わるシステムをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。そうしたものの開発、導入、運用保守までトータルで提供しています。

 

私はその中で、主に厚生労働省などの中央省庁のお客様に営業を行うチームのメンバーです。

▲オフィスのロビーは落ち着いた雰囲気。お客様との打ち合わせがあることも。

 

ーーとても重要なシステムを作っているんですね。岡山県にあるのに省庁が使うシステムに関わる企業として選ばれることもあるんですか?

 

そうなんです。それは「災害の少ない岡山県」という地の利が付加価値となって選ばれている部分があるんです。例えば私たちの提供する『R-Cloud』というクラウドサービスのデータセンターは岡山県にあります。

 

クラウドサービスというのはお客様の大切なデータや資産を預かるサービスですから、お客様はセキュリティや安全性をとても大事にされています。それだけに、都市圏にデータセンターを集中させていることのリスクを懸念されているケースも多いんです。

 

岡山は東京から離れたエリアであり、活火山や活断層からも離れているため、災害の被害も起きづらい。それが付加価値にもなっているんです。

 

▲主要活断層と両備システムズのデータセンター立地(HPより転載)

 

ーーなるほど!

 

データの安全性はとても大事ですからね。だからこそ、官公庁はインターネットには繋がらない独自のクローズドネットワークの中で業務をするように、国が指針を出しています。

 

ただ、インターネットに接続できないのは不便です。だから、独自ネットワークでありながらインターネットのサービスも接続できるようなゲートウェイが必要で、私たちの『R-Cloud』はこうした機能も備えることでお役に立っているんです。

 

『R-Clould』は他にも様々な機能を備えることで、企業や官公庁の方の困りごとを解決しています。

 

ただ、ITの技術革新は非常にスピードが速いです。こうした自社開発した製品を使ってもらっているだけでは、いずれ事業が縮小してしまいます。そこで、AIなどの新しい技術を使った新規ビジネスの開発に着手するため、僕たちビジネス戦略本部では大学の先生と共同で研究を進めています。

 

お客様の本当の望みを考えた開発・研究

ーーITシステムの開発はどのような流れで行うのですか?

 

まずはお客様から「ITでもっと便利にしたいこと」の相談や、要望をまとめていただいた「仕様書」をもとに、社内で企画検討するところから始まります。この最初の部分がとても大事です。

 

システム開発はビジネスですので、開発費や人件費などのコストを回収できるのか、利益を生み出せるかどうかの判断をする必要があります。そのために重要なのが市場調査です。ご相談があった困りごとは1社のみに限ったことなのか、それとも他の団体も共通して抱えていることなのか。それを分析して、開発に着手するか否かを判断します。

 

これは研究チームでも全く同じです。大学の先生から持ちかけられる課題の相談、これが他の先生も感じうる普遍的なニーズがあるのか。事業化の芽はあるのか。時間もお金も限られたリソースですから、この判断はとても重要です。

 

ーー広くニーズがあるかどうかを検討するんですね。

 

はい。その後、営業ではシステムエンジニアと「この技術とこの技術を組み合わせれば、お客様の困りごとを解決できるんじゃないか」という相談をした上で、お客様に提案を行います。それに対してお客様から「もっとこんな要素が欲しい」といったフィードバックをいただき、お話を重ねた上で正式に提案します。

 

ここで大事になるのが、お客様の本当のニーズはどこにあるかをしっかりと話を聴いて、よく考えることです。「こういうのが欲しい」とおっしゃっても、実際に必要なのはソレなのかは、実はわからない。

 

そうなんですよね。本当のニーズがどこにあるのかわからずに困っているお客様はたくさんいらっしゃいます。「当初要望として伝えたものと、本当に欲しかったものは違っていたと後から気づきました」とおっしゃられるケースはよくあります。

 

研究では開発者と直接やり取りしている場合、簡単なプロトタイプをササッと作って、ボタンを押して動かしてみてもらうことはよくしていますね。実際のものがあることによってイメージのズレが明確になり、何が重要かがはっきりしてくるからです。

 

両備システムズとしてはニーズに合ったものになっているかを確認した上でシステムを作り、真の顧客満足を達成したいですからね。その後には開発、テスト、納品後の不具合対応や機能追加などの保守運用サポートと続きますが、いずれもお客様の満足のためには大切な業務です。

 

お二人の「働く」を深掘りしてみる 

法学部出身のSE、情報系学部出身の営業

ーーお二人はなぜ両備システムズに入社したのですか?

 

先輩社員の方々の人柄に惹かれました。仕事をする上で一人で働くことってあまりないですよね。だから、一緒に働く人たちがどんな人たちで、職場がどんな雰囲気かというのが一番大事だと思ったんです。「ここだな」とフィーリングが合った場所が両備システムズでした。

▲社員の人柄や社風が伝わる採用広報動画

 

ちなみに植本さん、今システムエンジニアとしてバリバリ仕事されていますけど、出身は文系でしたよね?

 

ーーえ!?

 

そう、実は法学部出身なんです。新しいことがやってみたくて(笑)。

 

営業をしている僕の方が逆に情報系学部出身なんですよ。

 

ーーええ!?

 

僕の場合は人と話すのがもともと好きだったので、営業職に就きたいと思っていました。

 

最初は業界を選ばず住宅・メーカー・百貨店、ITといろいろ受けましたが、学部で学んだことを使わないのはもったいないなとIT業界に絞り込みました。東京に本社を置き全国展開するメーカー系企業などの候補もある中で両備システムズを選んだのは、やはり人柄、それと風通しの良さが決め手でした。

 

私は若いうちからアイディアをどんどん提案して活躍したかったんです。でも、社員数が数万・十数万人規模の都心の企業では、それは難しい気がして。両備システムなら規模はずっと小さいですし、若手の意見を聞いてくれる環境がありました。

 

医療業界に中央省庁、大きくなる仕事のインパクト

ーー今の仕事のどんなところに意義、やりがいを感じていますか?

 

入社当初はコーディング作業が新鮮で楽しかったです。それは今でも好きなんですが、医療分野でのAI活用プロジェクトに携わるようになって、やりがいは変わってきましたね。

 

医療業界は法規制が非常に厳しいんです。しかも保険適用になるかならないかで大きく収益性も変わります。だから、最初にその研究をスタートするかどうか考慮すべきことが山積みで、そのためには勉強が重要。コーディングに至るまでの道のりがとても長くなってしまいました。

 

ただ、医療業界にはたくさんの人が働いていて、病院の中には気をつけなくてはならないことがたくさんあります。通常、受診料の7割は税金でまかなわれているので、とても大きなお金が動いている業界なんです。だから、現場の効率化を少しでも進められれば、社会全体に与えるインパクトはとても大きい。そこにやりがいがあるなと今は感じるようになりました。

▲巡回健診のデジタル化を進める『スマートジェイワン』など、医療分野への開発にも注力

私の場合は営業職として「自分が会社の看板になっている」という責任感がやりがいですね。お客様と直接やり取りするのは営業なので、僕自身の格好や話し方一つで「両備システムズってこんな会社なのか」と印象が決まってしまうんです。その「ちゃんとしなきゃ」という意識が仕事のハリになっています。

 

営業担当も2年前から中央省庁への営業になり、植さん同様、仕事の難易度が上がりました。国の法律の運営に必要になるシステムを提案することもあり、法律に関する知識、業務の知見、提案書を作成する力量を求められ、すべてがチャレンジです。こんな大きな仕事に関われるようになったことも、大きなやりがいですね。

 

目指したい未来について聞いてみる

ーー今後はどんな事業に力を入れていきたいですか?

 

現在、両備システムズとしては官公庁向けのビジネスが好調です。そこで今後は民間企業向けのITシステムの提供に力を入れて、両輪のバランスがとれた会社として成長していきたいと考えています。ただ、そのためにもっと中央省庁とのビジネスを強化していきたいとも思っています。

 

法律や国の指針をもとに各自治体や民間企業は動いていきます。情報や施策の源泉である中央省庁にアプローチすることで、自ずとどこに課題やニーズが生まれてくるかがわかってきます。それが、民間企業向けの事業の発展にも良い影響を与えてくれるはずです。

 

ーー最後に、両備システムズさんが、どんな未来を目指しているかについて教えてください。

 

目指すものは一貫して変わることはありません。お客様と共に、お客様のチャレンジをITサービスの提供によって支えることを続けていきたいです。

 

当社の経営理念は「忠恕」。意味は「真心からの思いやり」です。この心を持ってお客様と信頼関係を築き、お客様に必要なシステムを提供していく。それが両備システムズという会社です。ですから、お客様と「ともに挑み、ともに創る」ことで、この先の未来を創って行きたいですね。

 

(編集:北原 泰幸)

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