皆さんは大道芸って見たことありますか?
この記事では、大道芸人・チャーリーさんのお仕事や大切な出会いについて聞いてみました!
目次
チャーリーさんのお仕事
大道芸と怪談師で日本全国を回る
——チャーリーさんはどんなお仕事をしていますか?
——大道芸人ってどんなお仕事ですか?
パントマイムとは、せりふを使わず、身振りと表情だけでする劇のこと。ジャグリングは、ボールを投げたりスティックなどのいろんな道具を使ったりして、常に1つ以上の物が浮いている状態を維持し続ける技です。バルーンアートは風船で色々なものを作りますね。あと、マジックは沢山の輪を繋げていくマジックやテーブルを浮かすマジックをしていて、シャボン玉は巨大なシャボン玉を飛ばしたり一度に何百個のシャボン玉を飛ばしたりします。
こうしたパフォーマンスを通して、お客さんと一緒に自分も楽しむような仕事だと思っています。
パフォーマーとしての自分
——どんなところがやりがいですか?
人との関わり合いをずっと続けていけるこの仕事は、大好きです。見てくれてる人の笑ってる顔とか楽しんでくれてる顔とか、それを見るのがすごく好きなので。
チャーリーさんの脳内
脳内グラフとは、チャーリーさんの頭の中を垣間見て、その割合を数値化したもの。どんなことを日々考えているのか聞いてみたいと思います。
妻・将来 50%
芸・仕事 25%
練習 15%
お金 10%
キャンプ 10%
体 5%
チャーリーさんのこれまで
第1章 今の自分を打破すべく、東京へ
私が住んでいるのは、津山市の中でも鳥取県境に近い、山奥深いところです。中高生の頃は、自分のやりたいことがなかなか見つけられなくて。自分探しの旅として東京に出ていきました。外に出ると、あらゆる職業もありますし、色んなものも見えますし、たくさんの人と会えるので。とにかく今の自分を打破したいと思っていました。
大学進学は正直、東京に出る手段として使ってしまいました。たくさん勉強して大学に入ったわけじゃなく、これなら東京へ行く手段として理解されるかなって。社会人入試というのがありまして、それで大学の夜間コースに入学したのです。子どもが好きだったので、先生になることも少し頭にありました。
第2章 大道芸と出会う
東京では、公園や駅前などいたるところで大道芸人が活動していました。度々見かけることもありましたし、大きな大会もたくさんあったので、次第に見入るようになって、自分でもどんどんとはまっていくようになりました。そのとき見た大道芸の中で、一番私の心に残ってるもの。それは、体ひとつ、パントマイム一つだけでやられている大道芸です。世界チャンピオンになった方がされていたコミックパントマイムにすごく感化されて。何も持たずに、体ひとつで人を感動させることが、私の心に強く響きました。
パフォーマンスで評価されるための1つとして、過去に誰もやったことないようなことを積み重ねていくことが必要です。2つ目は、お客さんへの「魅せ方」「立ち振る舞い」。どうアピールすれば、お客さんの心をかき立てることができるのかということですね。
第3章 学生と大道芸とバイトの日々
自分でも始めてみたくなり学生を続けながら大道芸を始めたのですが、最初の頃は本当に人がいなくていなくて。道端で芸をしてお金をいただくんですけど、本当に誰も止まらない。見てくれない。一人二人集まっても、すぐどこかに行ってしまう。
そんな状況が続き、どんな上手にやっても足を止めてくれないからどうしたらいいのかと、だいぶ落ち込みました。自分を見てもらえないことは、大道芸では致命的なことなので。この頃が一番しんどい時期でもありました。さらに、お金も入らないので、どん底の生活をしていましたね。バイトで生計を立てる毎日でした。
第4章 師匠との出会い
各地で行われていた大道芸の大会で、私の師匠となる方と出会いました。彼の芸を見るために追いかけて、やがて話しかけるようになりました。それから仲良くなってきて、私の方から積極的に学びに行かしてもらいました。学んだことは、技術うんぬんよりは、生き方でした。それは、「お客さんへの感謝を忘れないこと」。そして、「お客様に楽しんでもらうこと」が大事だということです。
この仕事を生業にしていくには、お客さんから収入を得る必要があります。なので、お客さんへの立ち居振る舞いや、足を止めてくれたお客さんが「一日楽しかったな」と思ってもらえることが大切です。芸を対価にお客さんからお金を頂くことのですから、恥ずかしくないものにしていく。
それを積み重ねて、生活していく。そういう生き方や考え方を学びました。お客様の一日を楽しくすることの積み重ね、一日一日の積み重ねを大切にしていこうということです。一日一日が私たちの勝負なので。足を一秒でも止めていただけたら、私たちはすごく嬉しいですし、対価をいただけたらもう本当に嬉しい。少しでもその人の人生に関われたということが、すごく幸せなことだと思ってます。
そして、師匠やその周りにおられる大道芸の世界で成功されている方に付いて回り、色々と見たり聞いたりするなかで、技術もさることながら魅せ方や惹きつけ方を学びました。どん底にいた自分をまた少し奮起させて、メンツもプライドも何もない時代だったので、もう当たって砕けろです!
第5章 食事のように、大道芸の日々
大学で小中高の教員免許を取りまして、しばらくは教職につきながら、大道芸と並行してやっていました。
大道芸をしていて嬉しかったことというと、最初の頃はぽつぽつだったお客様が、演技をしている間にワアっと集まって、この円の中心に私がいたときは、すごく嬉しい瞬間です。しかし、一番は自分の芸ですね。パフォーマンスが満足したことは、たぶん年に300回やったら2、3回くらいしかないと思うので。その2、3回、自分が満足した芸ができたときが一番充実して嬉しい瞬間というか。なかなか納得いったことがいかないので。
芸事、特にパフォーマンスは、なかなか失敗できない場面もありまして。失敗も面白くすればいいんですけど、ここで必ず成功させないといけないという時があります。どうやって成功させるか。それはやっぱり練習なんですけど。練習で何度も繰り返して成功イメージを植え付けないといけません。練習でできなかったことは悪いイメージになってしまい、失敗することもありますから。
練習は空気のようなものなので。空気や食事のようにたくさん食べて消化して、それを実践につなげていく。とにかく成功するイメージをたくさん持てるようになるのが1番だと思います。
第6章 岡山に帰り、大道芸人一本で
地元の津山に帰ってからは、主にイベント関係で大道芸をしていました。路上とは違い、そもそも人がいるという状態ですので、少し考え方も変わってきました。パフォーマンスの序章がなくなって、一気にトップスピードでお客さんを楽しませる方に傾いてきたんです。
色んな方にも出会いました。仕事を紹介してくれたイベント会社の方のおかげで今の自分があります。仲間との出会いもありました。仲間内で、高め合うために勉強会をしたり、風船の講習会をしたりしています。 住みます芸人・江西あきよしくんとの出会いもプラスになりました。江西くんの岡山愛や仕事のこなし方、特に芸をやりながら人を楽しませる・人を惹きつけるMC力について勉強させてもらいました。
そうやって仕事をしているうちに、段々と人とのご縁が増えてきたのです。色んな職種の方とお知り合いになれたというのが、自分にとっての財産ですね。
第7章 結婚とこれから
2021年1月に結婚しました。大道芸と家庭と2つを両立しながら頑張っています。将来は大道芸を50歳、60歳、70歳くらいになっても続けていきたいです。それが一番の目標ですし、挑戦でもあります。色んなことにチャレンジして、大道芸が終わったあと、ゆっくり縁側で妻と一緒にお茶飲んだり猫と遊んだり、そういう時間もすごく大事な時間だと思っています。この挑戦の先にある、心の平和というか。
(編集:森分志学)
コロナ禍ではイベントがなく、子どもの集まりに呼んでもらうことが多かったです。最初にパフォーマンスをした後、バルーンアートの教室を開いています。そこで、みんなでバルーンアート作って楽しんでいます。