生涯現役社会の実現を目指し、機器開発で世界に挑戦する・オージーウエルネス

  • #医療
  • #社会課題に取り組みたい
  • #ニッチなところで戦う

公開日 2026.01.19

「誰かの役に立つ仕事がしたい」そう思ったとき、医療や介護の現場を支える“ものづくり”という選択肢があることを、知っていますか。

 

オージーウエルネスは、医療・福祉の現場に寄り添いながら、機器開発を続けてきたメーカーです。会社の取り組みとともに、そこで働く人たちの想いを、大学生の一色さんが取材しました。

 

 

★橋本歩美(はしもと あゆみ)さん
オージーウエルネスホールディングス株式会社
グループ戦略推進本部 コミュニケーションデザイングループ
鳥取県出身。大学進学を機に岡山へ。2022年に入社し、秘書室、人事部門を経て、広報部門に配属。現在は、会社見学の対応をはじめ、公式SNSの運用や社内イベントでの司会など、幅広い業務に挑戦中。

 

★伍賀敬祐(ごか けいすけ)さん
オージー技研株式会社
メディカルストラテジーユニット 課長
理学療法士の資格取得後、病院にて勤務。2005年にオージー技研へ入社。現在はメディカルストラテジーユニット課長として、大学病院を中心にリハビリテーション機器の提案や、先生方との関係づくりに取り組んでいる。

 

★一色 眞菜(いっしき まな)さん
岡山県内の大学に在学中の大学2年生。NPO法人だっぴのインターン生として、2025年10月から参加。

 

医療福祉機器の総合メーカー・オージーウエルネス

リハビリテーション機器から介護用入浴機器まで幅広く手がける

 

今日はよろしくお願いします。まずは、オージーウエルネスさんの事業内容について教えてください。

 

オージーウエルネスグループの主力事業の一つがオージー技研です。オージー技研は、病院や介護施設などで使用されるさまざまな機械を開発・製造・販売する、医療福祉機器の総合メーカーです。

 

製品は大きく分けて、三つの分野があります。

 

一つ目がリハビリテーション機器です。病院のドラマなどで見かける、歩行練習の際に使う平行棒をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。歩行や動作訓練をサポートするさまざまな機器を手がけています。

 

リハビリテーション機器

 

二つ目が物理療法機器です。電気や熱などの力を使って治療をおこなう機器です。温める、冷やす、引っ張るといった物理的なアプローチで、痛みを和らげるサポートをします。交通事故後のリハビリテーションなどにも使われています。

 

物理療法機器

 

三つ目が介護用の入浴機器です。老人ホームなどの介護施設で使われ、介助する側と、入浴する方の両方の負担を減らす役割を担っています。寝たまま入れたり、座ったまま入れたり、一人ひとりの状態に合わせた多様な機器があります。

 

入浴機器

 

私たちの身の回りにあるもので御社の製品が関わっているものありますか?

 

病院のリハビリテーション室や、介護福祉施設での入浴介助の場面などで使われています。そうした場所で、オージー技研の製品を目にする機会はあると思います。

 

物理療法機器に関しては、家庭にあるもので例えるなら、肩こりのときに体にパッドを貼って、電気刺激で筋肉をほぐす低周波治療器もその一つですね。

 

ところで素朴な疑問なんですが、「オージー技研」と検索すると出てくる「オージーウエルネス」との違いがわからなくて……

 

「オージーウエルネス」は私どもの製品のブランド名です。

 

「オージーウエルネスホールディングス株式会社」は、親会社で、“ホールディングス”の下に「オージー技研」「オージー物流」「オージーエステート」というグループ会社があります。

 

なるほど、関係性がわかりました!

 

岡山県の邑久工場から、世界40カ国の現場へ

御社の事業のおもな顧客について教えてください。

 

大きく分けると三つです。

 

病院やクリニックなどの医療機関。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護福祉施設。医療分野を学ぶ教育機関。

 

そういった施設に、製品を導入していただいています。

 

御社の強みは、どんなところでしょうか。

 

オージー技研の強みは、製品の企画から設計・開発、製造、販売、メンテナンスまでを、自社で一貫しておこなっていることです。そうした体制があるからこそ、スピード感を持って対応ができています。営業やメンテナンスの現場で得たお客様の声を、開発や設計に直接伝え、製品づくりに生かしています。

 

製品としての強みはありますか。

 

医療機器と介護用の入浴機器、両方をつくっている点は、業界の中では特徴的だと思います。どちらか一方を専門にしている会社は多いのですが、両方を手がけている企業はそれほど多くありません。医療機器で培った技術や知見を、介護分野の製品開発にも生かせる点は、大きな強みだと感じます。

 

また、これまでに取得した特許は128件あり、製品開発を積み重ねてきた実績の一つだと思います。

 

製造まで自社でおこなっているということは、工場もあるんですか。

 

瀬戸内市の邑久町に工場があり、実はそこがオージー技研の創業地です。

邑久工場

岡山が創業地なんですね。

 

はい。岡山を拠点に事業を広げてきました。現在は本社が岡山市で、全国に17か所の営業所・支店があります。

 

邑久工場では、現在200品目以上の製品すべてを製造しています。世界40カ国との取引実績があり、ヨーロッパや東南アジアで使われている製品も、ここから出荷されています。

 

それだけの製品数を邑久工場の一カ所から、世界にまでというのはすごいですね。

 

目指すは「◯◯と言えばオージー」「◯◯に強いオージー」

会社が発展している理由は何だと思いますか。

 

医療や介護の分野は少しニッチな業界なので、簡単に参入できる分野ではありません。市場もとても大きいわけではないため、大手企業が次々に入ってくるような業界ではないという側面もあります。

 

介護用の入浴機器については後から参入していますが、社会の変化に合わせて、必要とされる分野に広がってきました。現場の声をもとに、ものづくりを続けてきたことが、今につながっていると考えています。

 

介護用の入浴機器が受け入れられたのは、やはり医療分野での実績から、信頼があったことも大きいと思います。信頼ある会社がつくるというので、安心感を持ってもらえたのではないでしょうか。

オージーウエルネスラボ

今後、力を入れていきたい取り組みについて教えてください。

 

現在、オージー技研では「お客様にとってなくてはならない存在として、世界ナンバーワンのリハビリテーション総合メーカーになる」ことを目標に掲げています。

 

世界一を目指しているんですね!すごい!

 

目標を達成するために、三つのミッションがあります。
一つ目は、「介護浴槽といえばOG」という第一に選ばれるトップブランドになること。世界的に少子高齢化が進む中で、介護現場の負担を減らし、生産性向上に貢献できる製品づくりを進めています。

 

二つ目は、「歩行リハビリテーションに強いOG」というブランドを確立すること。歩行は健康寿命と密接に関わっており、とても重要だと考えています。

 

三つ目は、海外市場で「ジャパンクオリティといえばOG」と言われる存在になることです。海外の展示会や学会にも積極的に参加し、海外市場への取り組みを強化しています。

理学療法士から製造メーカーへ転職した、伍賀さんの挑戦

製品を使う現場と、オージー技研をつなぐ役割

現在おもに担当しているお仕事について教えてください。

 

2025年7月に新設された「メディカルストラテジーユニット」に配属され、おもにリハビリテーション機器や物理療法機器に関わる業務を担当しています。

 

この部署は、リハビリテーション分野を中心に、医療機関とのつながりをより強化していくことを目的としています。大学病院の医師や研究者の方々と関係を築き、リハビリテーション機器の普及促進や共同研究・共同開発につなげていく役割です。医師や大学の先生方と直接お会いし、製品の説明やデモンストレーションをおこなったり、研究事例や使用方法などの情報提供をしています。

 

また、リハビリテーション分野を中心とした学会への出展や、学会共催セミナーの企画・運営にも関わっており、年間で20数件の学会活動を担当しています。

 

初歩的な質問ですが、「学会」がよくわかっていなくて……

 

学会というのは、医療分野では医師や理学療法士などの専門職が集まり、講演を聞いたり、自分たちの研究を発表したりする場です。規模はさまざまで、数百人規模のものから、数千人が集まる学会もあります。専門分野について学び、情報交換をする場だと考えてもらえれば分かりやすいと思います。

 

医師や大学の先生方との具体的にどんなやりとりをされるのですか?

 

たとえば、慶應義塾大学の特許を活用して開発した低周波治療器の場合、専門的な知識をもとに、実際の症例や使い方を踏まえた説明が求められる製品です。営業担当と一緒に現場へ伺い、この製品がどのような症例で活用されているのかといった具体的な事例を交えながら説明します。

 

低周波治療器は、リハビリテーションの現場でどんな風に活用するんですか?

 

この低周波治療器は、麻痺がある方のリハビリテーションに使われています。麻痺がある方に少しでも動かせる力があれば、その筋肉の動きを機器が読み取り、電気刺激によって筋肉を収縮させて、動きをアシストします。

 

イメージとしては、筋肉の動きをきっかけに、電気による刺激で後押ししてあげる感じですね。その状態でリハビリテーションを繰り返すことで、運動学習が促されていきます。
画期的な仕組みが評価され、現場からの反応もとても良い製品です。

ロボットリハビリテーション機器

 

一対一のやりがいから、無限大のやりがいを見出す

オージー技研に入社した理由やきっかけを教えてください。

 

この会社に入って、今年で21年目になります。もともと理学療法士として、整形外科で3年ほど働いていました。当時、ふと、病院だけで働き続けるのではなく、一般企業で働くという選択肢もあるのではないかと、純粋な興味を持つようになりました。

 

そんな中で、地元・岡山にリハビリテーション機器をつくっている会社があると知り、「面白そうだな」と感じたことが、オージー技研に興味を持ったきっかけです。理学療法士としての現場での経験を生かしながら、ものづくりの側からリハビリテーションに関われる点に魅力を感じました。


 

働く上での原動力や、モチベーションになっていることは何ですか?

 

病院でのリハビリテーションは基本的には一対一で、関われる患者さんの数も限られます。それはそれで面白さもある仕事だと思っています。

 

ただ、メーカーという立場になると、一つのリハビリテーション機器をつくることで、その機器が多くの現場、いろいろな患者さんに使ってもらえる可能性が広がります。たくさんの患者さんが良くなっていく。そう考えると、そこに大きなやりがいがあるなと感じました。

 

一対一の人同士の関わりと、機器を通した大勢の関わりの違いなんですね。

 

実際に使っていただいている先生方から「これ、いいよね」と言ってもらえたり、現場で患者さんがその機器でリハビリしていたりする姿を見ると、「よかったな」と思います。

 

もっといいものをつくっていかなきゃいけないな、という気持ちにもなりますし、その製品をどうやって広げていくかを考えることもモチベーションになっています。

 

理学療法士の専門性を土台に、積み重ねてきた経験

御社で働く中で、磨かれてきた専門性について教えてください。

 

専門性とは少し違うかもしれませんが・・・医療現場の方々と関係を築く力は、この仕事を通して磨かれてきた部分かもしれません。

 

さまざまな医師の先生方がいて、若い頃には自分のミスで怒らせてしまったこともありました。そうした経験を重ねる中で、相手に寄り添った伝え方や距離の取り方など、先生方との接し方は自然と身についてきたように感じます。

 

医療現場だからこそのコミュニケーションがあるんですね。

 

学会やセミナーの企画・運営にも関わり、講師となる先生への依頼から当日の進行まで、一通りを任されてきた経験もあります。こうした段取りや調整の仕事は、病院勤務ではなかなか経験できないと思います。

 

理学療法士としての専門性を土台にしながら、製品知識や商品開発の視点、医療従事者との関係づくりなど、 できることが増えてきたのかもしれません。

 

オージーウエルネスのお二人から若者へのメッセージ

年齢・国籍、文系・理系……枠にとらわれないでいい

最後に、お二人から若者たちへのメッセージをいただけたらと思います。

 

学生の皆さんには、まず世の中にはいろいろな会社や働き方がある、ということを知ってもらえたらと思います。

 

オージーウエルネスも、医療福祉の現場を支えるものづくりを通して、世界とつながっている会社のひとつです。そして、ここで働く人たちを見ていると、 年齢や国籍、文系・理系といった枠にとらわれず、それぞれが自分の得意なことを生かしながら働いています。

 

学生の皆さんにも、今のうちに「自分が何に興味があるのか」「どんなことが強みなのか」をしっかり見つけてほしいですね。

 

この業界の仕事は、わりと分かりやすいところがあると思っています。たとえばリハビリテーションであれば、怪我をして痛みを抱えている人がいる。入浴装置も、一人ではお風呂に入れない人がいる。そうした「困っている人」に向けて機械をつくり、支えている仕事です。

 

世の中には、今の生活をより便利に、豊かにする製品がたくさんありますが、自分たちの仕事は、「誰かの生活そのものを支えている」と実感しやすい。そこは、この仕事の大きなやりがいだと感じています。

 

学生の皆さんにお伝えすることがあるとすれば、いろいろなことに好奇心を持って、アンテナを張りながら過ごすことは大切だと思います。合う・合わないはやってみないと分からないことも多いので、まずはちょっと試してみるぐらいの気持ちでやるといいと思います。

 

お話を聞かせていただき、ありがとうございました。とても有意義な時間になりました!

(編集:森分志学/執筆:大島爽)

TOP