岡山の若者が生き方百科を活用して自分の興味を大人にぶつける。それがとことんトーク!
今回とことん話してきたのは、留学生のハンユーさん。ずっと興味を持っていた戦争や貧困をなくす国際協力活動について、その道の先輩・未来(みき)さんについてアレコレ尋ねます。
二人が最後にたどりついたキーワードは「自分の中の平和」・・・・・・!?問いが深まる突撃録です。
目次
登場人物紹介
かつて独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)で岡山県国際協力推進員として働いていた。現在は、岡山のシステム会社・株式会社オーリスでワクワクする世界をつくるために活動中。
未来さんの見た国際協力の世界
「貧しい=不幸」ではない
なので、実際の活動経験を持つ未来さんにお話を聴くのを楽しみにしてきました!
自分の気持ちにいつもフタをしているようなところがあって、周囲との信頼関係もうまく築けていませんでした。自分自身に対しても肯定的な思いが持てず、「私にできることなんてない」と思いこんでいました。 でも、中3の時に担任の先生が親身になって相談に乗ってくださったことで「やれることを頑張ってみよう」と思えるようになって。それで始めたのがこの活動だったんです。
それから、もっともっとこの活動を頑張りたいと思うようになって、高2進級前の3月には、NGO所属のお医者さんと一緒にカンボジアとタイを訪問したんです。 そこで見た現地の方々の姿に、私はものすごく衝撃を受けました。
かえって私の方が幸せじゃなくて、私の方が学ぶことや受け取るべきことがたくさんあるように思えて仕方なかったんです。 「こんなに生き生きと笑ったことってあったかな」 「こんなにキラキラした目で夢を語ったことってあったかな」 「幸せって、一体なんだろう」 「みんなで一緒に幸せになるって、どうしたらいいんだろう」 そんなことを高1なりに自問自答した日々でしたね。
募金で建った学校の現実
それでもお伝えするなら、お互いが自分の人生を幸せに生きていくためにお互いが協力し合うこと、それが”本当の支援”なんじゃないかなって思っています。
でも、「自分が正しい」と思ってしたことが相手のためになるとは限らないですよね。 だからそうじゃなくて、相手からもその矢印が返ってくることが大事だと思うんです。お互いが伝えあえれば、「あなたの幸せってどんなもの?」「私の幸せはこうだよ」「じゃあ、『私たち』の幸せはどんなものかな」と一緒に互いの幸せを考えられるようになるはずです。 そうした双方向の関係性を築くことができれば、”協力””信頼”という関係になっていくのじゃないかなと。
でも、そのどれもが不自然なぐらい綺麗で人気もないんです。
それで、不思議に思って聞いたんです。そうしたら、現地の人が教えてくれました。建物は立派だけど、中は空っぽで使われていないんだって。
そういう現実を今から20年前に目の当たりにして、これが”支援”の実態なんだなと思ったんです。
私達が支援していた学校は、現地のNGOの活動地域にあった学校で、生徒たちも先生もいました。そのため古い校舎を再建した後も学校教育の現場として活躍し、今では政府のパイロットスクールとして地域の中でも重要な役割を果たしています。
ただ、当時の自分は「学校がないなら学校を建ててあげよう!」という短絡的な意識しか持ち合わせていなかったので、一歩間違えたら、道中でみかけた他の小学校と同じ末路をたどっていたかもしれないと思うと、ゾッとしたのを今でも鮮明に覚えています。
当時のわたしは、良かれと思って行動した結果、「相手にとって何が必要か」とか、「今どういう状況か」とか、「どういうことをすれば相手の幸せに貢献できるのか」ということを置いてけぼりにしてしまった。
こうした在り方のままではいけないんだと、その時気づきました。
再建プロジェクトに関わった小学校の開校式で、自分の決意として「一緒に未来を作っていきましょう」と記帳しました。その時の自分との約束をどうやって果たすか、それが私の人生の中で大きな命題となっていきました。
JICAでのやりがいと苦悩
33歳のときから3年間勤めたJICA国際協力推進員は「地域のJICA窓口」です。青年海外協力隊への応募を検討する人、研修で岡山に来た海外の人、開発途上国でのビジネスを考える企業の人、そうした人達をサポートする大切な仕事です。 日本の教育現場では「開発教育」と呼ばれる世界の貧困と私たちの生活がどう関係しているかなどを伝えるワークショップなども行いました。
でも一方で、徐々に不安も感じるようになっていったんです。
国際協力推進員の業務は必要不可欠な仕事だけれど、現地に行くわけではありません。私の行動の先にいる現地の人の、顔も名前も分からない。 だから、私の行動は”本当の支援”につながっているのか、徐々に疑問が膨らんでいってしまったんです。
本当の国際協力はどこから始まる?
たとえば私であれば、「自分自身を自分で大切にできているか」とか「明日を迎えることにワクワクできるか」とか「自分の愛する人たちのことを大切にできているか」が大切で、そうしたことを大事にできていくと、自分の心の中に安心安全な場所ができていくと思うんです。
それって国際協力の原点でもあって、人と人とが理解し合うためにものすごく重要なことだと思うんです。助け合いは自分を起点にして、周囲に波及していくものなんだと思います。
だから私も「まずは自分を幸せにできる人になろう」と、今取り組んでいます。その先に、自分が大事だなって思っている人たちの幸せがあったらとてつもなく嬉しいですよね。
(編集:北原 泰幸)
岡山大学大学院に通う中国からの留学生。社会文化科学研究科所属。小さい頃から国際ボランティア活動に参加したいと思っていたが・・・・・・?