ブライダル業界ってどんな仕事?専門学校の先生に聞いてみた。

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公開日 2023.03.22

幸せな新郎新婦の大切な一日を演出するウェディングプランナー。一生の記念日を作るサポートができる仕事として、憧れる人も多い職業です。

 

今回はそんなブライダル業界のお仕事が気になっている高校1年生のモリモトさんが、専門学校のブライダル・ホテルコースで教鞭をとる上村玄之(うえむら  げんし)さんに質問しに行きました。ブライダル業界で働くうえで、大切なことって一体なんなのでしょうか?

 

登場人物紹介

★モリモトさん
岡山県に住む高校生。演劇部に所属していて、演出をするお仕事に興味いっぱい。ブライダル業界のことが気になっているが、結婚式に参加したことがないためイメージを持てずにいる。

 

★上村さん(上村玄之)
現在は岡山県の専門学校ビーマックスのブライダル・ホテル学科講師/就職担当。岡山県・広島県・熊本県などの結婚式場でウェディングプランナーや支配人として、豊富な現場経験がある。

ブライダル業界について聞いてみる

Q1.ホテルウェディングとハウスウェディングはどう違うの?

今日はよろしくおねがいします!調べていてもよくわからなかったのですが、ホテルウェディングとハウスウェディングにはどういう違いがあるんですか?

一番の違いは自由度ですね。ハウスウェディングというのは、結婚式用の貸し切りの建物で行うウェディングのスタイルで、新郎新婦の要望に応えて自由に決められることがとても多いんです。

 

それに対して、ホテルウェディングはホテルの大きな宴会場で行います。ホテルは宿泊施設なので、お客様にお部屋やレストラン、バーなどでゆっくりご滞在いただけるのがメリットです。しかし、設備面で限界があるため、一般的にはハウスウェディングほど演出などの自由度が高くありません。

 

日本のウェディングの歴史としては、もともとホテルウェディングが主流だったんですよ。

自由度が高くないのにですか?演出面で、昔と今のやり方に違いがあるのでしょうか。

モリモトさんのおじいさんおばあさんの時代はハウスウェディングというのはなかったんです。世代の人口がとても多く、結婚式を挙げる組数も現在の倍以上でした。いくつもの宴会場を持った大きなホテルの中で、何組も同時に結婚披露宴をしていたんです。

 

すぐ次の時間には別の結婚式の予約が入っているような状態でしたから、当然式場側は時間管理にとてもシビアでした。結婚式ごとに演出を自由に変えるのは手間がかかりますし、時間が延びてしまうリスクもあります。

 

だから、今ではあまり考えられないけれど、みんな似たような結婚式を挙げていました。

そうなんですか。きっと、もっと自由にしたかったでしょうね。

もしかしたら、それが普通で疑問にすら思わなかったのかもしれません。モリモトさんのお父さんお母さんの頃も同じような結婚式をしていた時代でしたが、20年ぐらい前から「本当にやりたいことを結婚式でやりたい」「貸し切りの場所に大切な人を招きたい」という流れが生まれ、今のハウスウェディングが生まれました。

 

欧米の一軒家風のところもあれば、フロア毎にコンセプトを設けてフロア毎の貸し切りとしている式場もあり、ゲストの人数にも合わせられ、自由度はとても高くなりました。

 

もちろん現在はホテルウェディングも設備的な制約はありますが、新郎新婦の願いを叶える自由度のある結婚式を考えてくれますよ。

現在は昔に比べ、かなり自由に選べるような選択肢ができたんですね。

Q2.ウェディングの演出はどんなものがありますか?

そもそもウェディングの演出ってどうやって決めていくんですか?

まず何よりも、新郎新婦との打ち合わせが大切です。ウェディングプランナー側は演出のアイディアをたくさん持っていますが、一方的にそのアイディアを「これはどうですか?」と提案しても、「私たちはそういうのは好きじゃないんです」と言われる可能性が高いです。それは新郎新婦それぞれに「自分たちで式を盛り上げたい」とか「目立つのは嫌だけど、来てくださった方々の近くに行きたい」とか「大切な人に感謝を伝えたい」といった要望があるからです。

 

だから、時間をかけて新郎新婦との信頼関係を築くことが大切です。そうする中で好みや要望を理解し、それに沿った演出の提案をしていきます。

ちなみに、どんな演出があるんですか?特徴的なものがあれば教えてください。

さきほどの「式を盛り上げたい!」という要望のお客様であれば、サプライズの「フラッシュモブ」は人気がありますね。一例としては、お食事中に急に音楽が鳴り出してスタッフが踊り始めるパターンがあります。本当はスタッフに扮したプロのダンサーなんですけど、彼らのキレキレのダンスを起点にゲストが参加するなどして人数を増やし、最後には新郎や新婦が参加する場合もあります。

 

「大切な人に感謝を伝えたい」という要望なら「メモリプレイ」という演出があります。これは株式会社サプライズモールが提供するサービスで、結婚式の両親へのお手紙や挨拶の場面で、新郎新婦の小さい頃に扮した役者さんがご両親の前で家族だけのエピソードを演じるという演出です。プロの役者さんが演技してくれるので相当ハイレベルで、「あのときのことか……」とご両親はすごく感動させられるんです。

 

今はYoutubeでもいろんな演出が見られますよ。

ホントだ!色々あるんですね。結婚式だからでしょうか、感動を誘う演出が多い気がします。

結婚式って、普通のパーティーじゃないんですよね。親からの自立や、新たに家庭を持つ儀式でもあるんです。そこには新郎新婦を見守ってきたおじいちゃんおばあちゃんや親戚の方もいて、これから新たに家族や親戚になっていく方もいる。不思議な雰囲気のある場なので、普段は照れてしまって言えないような感謝の言葉も、まったく恥ずかしくなくなってしまうんです。

 

結婚式を機に仲違いしていた二人が仲良くなれたり、新しい家族とうまく付き合っていけるようになったり。そういう関係の変化が生まれるのも結婚式なんです。だから、ダンスのような新郎新婦さんの好みに合わせたやりたいことと、今までの感謝の気持ちを伝えるような内容をバランスよく取り入れると、良い結婚式になりやすいんです。だから、感動的な演出が多く見られるのでしょうね。

Q3.本番までの準備期間はどれぐらいですか?

結婚式の申し込みから当日まで、どのぐらいの準備をするのですか?

一般的には1年前〜半年程度時間をかけることが多いですね。もちろん1ヶ月や2ヶ月でもやろうと思えば可能です。でも、あまりに短いとゲストのご都合がつかないこともありますし、とてもバタバタしてしまいます。

さきほど打ち合わせが大切という話がありましたが、一般的な期間では何回ぐらい打ち合わせをするんですか?

5回の打ち合わせが多いですね。1回の打ち合わせには通常2時間以上かかります。最初に衣装を決めて、次にお料理、それから引き出物、会場の装飾やお花などの飾り付け、当日の演出やサプライズについて。すべてが決まったら直前にリハーサル……というのが一般的です。

2時間を5回……。少ないと感じる方はいないんですか?

もちろん、それでは不安だという方もいらっしゃいます。その場合は回数を増やしますよ。今はリモートでお話する場合もあります。

 

打ち合わせでは雑談のような、新郎新婦さんとの距離を縮める時間が大切なんです。良い演出をご提案して、素敵な結婚式のサポートをするためには新郎新婦さんの本音を教えてもらう必要がありますから。

 

この新郎新婦さんとの関係は本当に大事なところです。これはお二人の立場で考えればよくわかると思います。結婚式場を見て「ここで式を挙げたい!」と思ったのに、その後スタッフに対して「合わないな」「冷たいな」と感じてしまったら。半年以上もかけて打ち合わせして作り上げていく時間が苦痛になってしまいますよね。

確かに。信頼関係ができていれば半年間楽しいし、当日も良い演出になると信じられそうです。

ブライダルスタッフとして大切なこと 

ブライダルの演出に関わるスタッフとして大切なことって、一体なんでしょうか?

その人自身が、「本当にお客様に信頼される人であろうとしていること」だと私は思います。

 

新郎新婦の人生の転機に、ご自身の大切な方々をお招きする。その大切な一日を支える責任は、とても重いものです。お二人の一番輝いている時間にスタッフとしてお手伝いをさせてもらう、自分自身がそれをさせてもらえる人物なのか、自分自身を見つめる眼差しを持たなければなりません。

 

新郎新婦に信頼してもらえるように、身だしなみ、受け答えの言葉など、たくさんの観点から客観的に自分自身を点検し、日々磨いていかなければならないんです。

「幸せのお手伝いができていいな」という気持ちだけではダメなんですね。

その気持ちはもちろん大切ですが、本当に新郎新婦のために演出をしようと思うなら、信頼を得られる人間になろうとする努力は欠かせません。それはきっと高校生からはじめても、早すぎることはないと私は思っています。

なるほど、その努力はどの職業にもつながりそうですね!今日は本当にありがとうございました。

 

(編集:北原 泰幸)

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