つくるのは建材の先にある暮らしやすさ・DAIKEN株式会社岡山工場

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公開日 2025.10.16

家に帰って、ほっと一息。休日は、自分の部屋でまったり。そんな「暮らしやすさ」は、私たちが普段目にすることができない「建材」から生まれています。DAIKEN岡山工場では、住宅や事務所、店舗、公共物件などに使用される天井材・壁材が生産されています。建材を通して快適さと持続可能性を追求する先進的な取り組みを、大学生の守屋くんが取材してくれました。

創業以来、建材の可能性を超え続けてきたDAIKEN

 

★谷野明寛さん
DAIKEN株式会社岡山工場 工場長。倉敷市出身で、1997年に入社。大阪・茨城・東京を経て、現在は岡山工場工場長として4年目を迎える。休日は自宅の庭の草むしりや家の手直しなど、家のメンテナンスでリフレッシュするのが定番。

 

★工藤直政さん
総務経理課所属。2003年入社で社歴22年目。製造部門を経て、2017年より総務を担当。備品管理から給与計算まで幅広くカバーする縁の下の力持ち。趣味は野球とゴルフ。岡山工場の野球部監督としても活躍中。

 

★守屋くん
岡山県立大学の3回生。スポーツ工学を勉強中で、スポーツはもちろん、教育や福祉など広い分野に興味津々。「多くの人にとって生活の一部になるようなものの開発に関りたい」という将来の夢を持っている。

 

廃材を活かした、未来を想うものづくり

DAIKENでは、どんな事業をされていますか?

 

当社は建材メーカーとして、主に住宅や施設向けの床材・天井材・吸音材などを製造しています。岡山工場では天井材や壁材を中心に、機能性や環境配慮に優れた製品を生産。「住まいの快適さ」を支える高品質な素材を提供しています。

 

例えば、皆さんの住んでいる家には、大工さんや住宅メーカーさんの手を渡って、壁や天井、床などに当社の製品が使われているかもしれませんね。

 

ちなみに、創立時にはどんな事業からスタートされたのでしょうか?

 

当社は1945年に富山で創業し、水に強い特殊合板の製造をスタートしました。1958年に岡山の地で、製造時に出る材木の端材を再利用する目的で木質ボードの製造を行いました。この木質ボードは、畳床のわら床の代わりに使用されたり、特徴的な吸放湿性能があるので、押入れなどの除湿材として使用されたりしていました。

 

現在では「資源を大切に」というと当たり前に聞こえますが、弊社には資源の有効活用を重んじる精神が80年前からあったんです。

なるほど。現在、DAIKEN株式会社岡山工場の顧客はどんな方々なんですか?

 

当工場の製品は、特約店(メーカーと特別に結ばれた契約に基づいて販売する卸売業者のこと)を通じて販売店や工務店、大工さんのもとへ届きます。私たちの商品は一般住宅から公共施設、オフィス、商業施設まで多岐に渡っていますよ。近年ではホームセンターでの流通も強化し、幅広いニーズに対応しています。

 

他社製品との違いや、DAIKEN独自の強みはなんでしょう?

 

他社と比べて、高機能の製品が多い点が特長です。地震に強いものや吸音性に優れたもの、部屋の湿度変化を抑えてくれるものなど、暮らしの安全と快適さを支える機能を持っています。

 

また、資源を無駄なく使う姿勢も創立以来一貫しています。例えば、古い家などを解体したとき木質材料が発生するのですが、これを木質ボードの原料に使用します。原料にできない木質材料は、燃やして高温の水蒸気を作ることで、製品を乾燥するための熱源として利用しています。

 

企業の節目に考える「本当の心地良さ」とは

「ずっと ここちいいね」というキャッチコピーをHPで見て、素敵だなと感じました。これはどんな理由で選ばれたのでしょう?

 

創立80周年の節目に、「キノウを超える、ミライへ。」という以前のコピーを一新し、「ずっと ここちいいね」というコピーを掲げました。環境への貢献と快適性の向上を事業の軸として、“持続可能な快適さ”を表現しているそうです。

 

環境に配慮したものづくりによって、人々の暮らしと未来を支える企業でありたいという思いを込めたフレーズです。

 

今後の展望や、注力していきたいプロジェクトについて教えてください!

 

木材をカットする際に出た端材や廃材、間伐材といった素材の活用に引き続き注力していきます。それと同時に、研究開発(R&D)部門と連携して、さらなる未利用資源の活用や持続可能な建材の開発に力を入れています。

 

産官学連携で地域の企業や学生さんたちと協力し、新たな環境配慮型の技術や製品を世界へ発信するのが目標です。限られた資源を大事に使い、「地球にいいことをしているんだ」と社員が誇れる製品づくりと、グローバル市場への発信を続けていきます。

 

資源の枯渇は世界の問題ですよね。社内の展示室もご案内していただき、ありがとうございました!

 

珍しい?でも納得!工藤さんのキャリアステップ

幅広い分野で「人」と「知識」に関わる立場

なぜDAIKENに入社されたのですか?

 

高校の先生や部活の監督からの推薦で当社を知りました。もともと、ものづくりに興味があり、DAIKENについて調べていくうちに「資源活用の理念」に共感し入社を決意しました。また、野球部の先輩が多く活躍していたことも、入社の後押しになりましたね。

 

現在は、どんな業務をされていますか?

 

入社当初は製造部にいたのですが、現在は総務経理課として、工場運営全般のサポートを行っています。主な業務は入退社手続きや給与計算などですが、社員への制度説明や相談業務も広く担当している状態です。一言でお伝えすると、従業員が安心して働けるようなお手伝いをしています。
製造部から総務部へ移るとモチベーションを感じる場面も変わると思いますが、今の部署でやりがいを感じる瞬間っていつですか?

 

「困った」を解決できたときにやりがいを感じます。サポートしたのはひとりの社員さんかもしれませんが、それが工場全体の運営を支える結果に繋がっていると思うんですよ。労務や法務、経理、人事など幅広い知識にふれることも魅力で、社内外とのつながりを築ける点も、大きなモチベーションになっています。

 

総務部では、どんなスキルを培えますか?

 

「マルチタスクを効率よく進める力」、「期限を意識したスケジュール管理能力」、「社内外との円滑なコミュニケーション能力」の三つが身につきました。また、労務に関する制度改正にも柔軟に対応できるようになり、臨機応変に行動できる能力も鍛えられています。

 

製造業務から総務に抜擢されて気づいたこと

気になっていたのですが、なぜ工場での製造業務から、総務へ異動したのですか?

 

繋がりの深い上司が、いつの間にか総務部へ僕を推薦してくれていたんです。話を聞いたときは驚きましたが、製造部を経験している自分だからこそ、現場の気持ちを理解し、的確なサポートができるのではないかと考えました。異動当初は戸惑いもありましたが、名前をみれば働く人の顔が浮かぶ自分だからこそ、手元の資料だけにとらわれない支援ができると確信しています。

 

異動当初は慣れないことも多かったと思うのですが、どうやって乗り越えましたか?

 

情報処理のミスを経験したことがあります。しかし、ただ落ち込むのではなく、まずは原因を突き詰めマニュアルの見直しや運用改善で再発防止を徹底しました。そのおかげで、マニュアルに残っている古い指示を訂正することができたんです。

 

ミスをしてしまっても正直に報告し、先輩と一緒に改善策を考えることで、総務としての自信と責任感が育まれました。

会議中の工藤さん

今後の展望について教えてください。

 

現在の業務は多くの人と関わるため、やればやるほど面白さに気づけると思っています。最近では採用活動で高校を訪問したり、母校で講演をしたりと、社外への発信業務も増えました。今後も社内外でのつながりを広げ、製造と総務をつなぐ橋渡し役を続けたいですね。

 

気になる企業を見つけたら、しっかりと深堀りを

さいごに学生へメッセージをお願いします!

 

中学、高校、大学と、進路を決めるタイミングは何度もありますが、後悔のない選択をしてほしいと思います。世の中には業界や企業の情報が溢れています。だからこそ、表面上の情報だけで決めず、職場や工場見学などを通して、リアルな声にふれてください。

 

僕が就職を考えた時期には、野球部の先輩がDAIKEN岡山工場にいて、やりがいや苦労した点を詳しく教えてくれました。気になる企業があればしっかり深掘りして、自分の納得のいく選択へつなげてください。

当社は工場ですから当然、一人で製品を完成させることはできません。それぞれの工程にスペシャリストがおり、皆が力を合わせているから製品が出来上がるのだと、日々実感します。だからこそ、業務の中では「伝えること」がとても大切です。

 

自分の考えや感情をうまく言葉にできないと、誤解や衝突が生まれることもあります。コミュニケーション力があれば、分からないことも聞けるし、仲間と協力していい仕事ができ、自分に自信を持つこともできます。ぜひ、感情を上手に表現する練習をしてみてください。社会に出てから大きな力になりますよ。

 

(編集:森分志学/執筆:杉原未来)

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