文章や絵の生成、情報収集、プログラミングとできることが増え、どんどん私たちの身近になっているAI(人工知能)。将来、人間の仕事がなくなる?AIと人間は共生できる?そもそもAIって何をしているの?そんな不安がある読者もいるのではないでしょうか。
今回は、岡山でAIの開発をおこなう企業の先駆けといえる、株式会社アイティーシーで働く平野勝也さんと藤原周大さんに、情報通信工学を学んでいる大学生のあかりんが気になる疑問をぶつけてくれました!
目次
岡山から首都圏を支えるAIの開発技術
AIを活用したITシステムのコンサルティングって?
――初めに、おふたりがどのような仕事をされているのか、教えていただきたいです。
――そうなんですね!システム開発全体のコンサルティングをされているそうですが、どのようなことをコンサルティングというのでしょうか?
ITシステム全体の「コンサルティング」というと、お客様が使用しているシステムをどのように変えたり、取り組んでいる業務をどのようにシステム化したりするか、具体的にご提案することを指します。
――データサイエンティストの仕事もあるそうですが、どんなことをするのでしょうか?
東京の企業を岡山から支える「ニアショア開発」
――藤原さんはどのようなお仕事をされているんですか?
僕の事業部では、チャットボットの開発や販売をする東京の企業を、岡山からリモートでサポートしています。
チャットボットってご存知ですか?Webサイトの右下などに出てくる「質問はこちらから」という案内に活用されている、AIを活用した自動会話プログラムのことをチャットボットといいます。
「ニアショア開発」といって、首都圏の仕事の一部を地方で担い、首都圏と地方で並行して開発を進めます。
――「ニアショア開発」という言葉を、御社のホームページを見て初めて知りました。岡山からWebなどを用いて仕事をするということでしょうか?
東京の案件を岡山で請け負うことで、お客様のコストを下げることができるんです。東京は岡山よりも物価や単価が高い。岡山で開発できることでお客様にとって大きなメリットがあり、「ニアショア開発」は弊社の強みとなっています。
様々な分野でデジタルトランスフォーメーション
――御社がこれから力を入れていきたい分野があれば教えていただきたいです。
将来のIT業界はAIと共生して発展していく
――これからさらに多くの分野でテクノロジーが広まっていくのがイメージできました。将来、IT業界はどのようになっていくと考えていますか?
近年は、AI関係の技術が一気に向上しています。個人が活用するだけでなく、企業でも活用していこうという流れも、全国的に出てきています。
現状ではAIはまだ登場して間もないですが、AI関係の技術が成熟していくことで、AIが使われているソフトが増え、さらに身近になっていくのではないでしょうか。
そういうソフトが当たり前に使われることで、人間がするべき仕事がどんどん減り、より時間をかけたい作業に集中できるようになっていくと思います。人間がするべき仕事はたくさんあります。それをだんだんとAIが代替することで、人間の補佐としてAIが活躍する未来が訪れるんじゃないかな。
――AIの技術を用いて文章を生成してくれるシステムに「こういうソースコードを書いて」と指示したら、書いてくれると聞いたことがあります。
例えば、そのソースコードが問題ないかは人間が判断する必要がある。なので、AIを活用すると書く作業は減らせますが、結局は人間側に知識がないといけないので、今のところは完全にAIに任せることはできない状態です。
――そうなんですね。エンジニアの仕事が無くなるんじゃないかと焦っていたので、安心しました。AIを利用して、AIと共生していく社会になっていくということでしょうか。
入社時に必要なのは技能や資格よりも、興味
――エンジニアとして御社で働くために、入社前に取得しておくべき技能や資格はありますか?
――ええ!そうなんですか?
ただ、技能や資格は持っていったほうが、入社後に他の人と差をつけることができます。
講義形式の研修を通して、基本的なスキルを身につけていただきます。Off-JTが終わった後はOJT(オージェーティー)で業務に関わりながら、技能やスキルを磨いていただくという流れですね。
技能面では、すぐに業務に活かせるExcelやPowerPointの使い方を知っているといいですね。資格だと「ITパスポート」や「基本情報技術者」を持っていると、システムの全体的なことが理解できているということになるので、入社時点でそういった資格を持っているとなお良いといえます。
――入社するためには、絶対に資格が必要で、専門の知識をしっかりと持っていないといけないのかと思っていたので、すごく意外でした!
――興味を持って働けるほうが楽しいですよね。
エンジニアの仕事は想定外!?平野さんと藤原さんが入社して感じたこと
入社年数関係なく意見を出し、活躍できる
――ここからはおふたりのことをお聞きしたいです。入社して魅力に感じたことはありますか?
先日、事務所のレイアウトを変えようという話になりました。誰かが変えるのではなく、「オフィスレイアウト変更プロジェクト」と名前をつけてプロジェクト化しました。予算を組んで、皆で何を買うか考えたり意見を出し合ったりして進めたんですよ。
――皆で進めていく過程がすごく楽しそうですね!藤原さんはいかがですか?
若手社員でも裁量がとても大きいんです。もちろん大変な面もあります。けれど、すごく力がつきますし、若いうちから経験をたくさん積んで実力つけたいという方にとっては、すごく魅力的な部分だと思います。
パソコンの作業時間よりも人と話す時間が多い!?
――入社して、ギャップを感じたことがあれば教えてください。
――私もプログラミングがメインだと思っていたので意外です!
まずはシステムの仕様を確認して、お客様と打ち合わせをする。打ち合わせた内容を設計書のようなものに落とし込み、プログラムを作る。システムが完成したらテストをして動作確認をした後、お客様に納品し、お客様側でも問題なく使えているかを確認するところまでが、大まかな仕事の流れです。
――設計書のようなものはどうやって作るのでしょうか?
――お話を伺っていると、コミュニケーション能力が大事だなと感じます。
やりがいはお客様が喜ぶ姿を直接見られること
システムの大量データの処理は、多くの場合夜におこなわれます。夜間バッチという、処理の順序を決めて、スタートしたらザーッと処理が流れていく仕組みがあって、だいたい夜9時くらいから翌朝3時くらいにかけて、データがどんどん処理されていくんです。 あるとき、お客様から「処理に時間がかかっている部分がある。どうにかしてくれないか」と相談がありました。調べてみると、処理のなかにいろんな機能が組み合わさっていて、1つの処理に2時間もかかっている機能があったんです。一晩の処理の時間は限られているので、1か所に2時間かかると大問題。考えていろいろと試して直した結果、なんと処理にかかる時間を2時間から、10分に縮めることができたんです!
――すごい!そんなに短くなるものなんですか?
――嬉しさが伝わります!藤原さんはいかがでしょうか?
岡山県内の保険業務をおこなう企業からのご相談でした。その企業では、Excelのファイルを毎月新しく10ファイル以上作って事務関係の処理をしているとのことで、どうにかシステム化できないかという内容でした。システムの仕様を考えるためには、その企業がどういう業務をしていて、どんな処理が必要かを知らなければなりません。
僕には保険業務の知識がまったくなかったので、お客様に業務内容について細かく聞き込みました。仕事の内容や流れを理解したうえで「どうすれば作業を楽にできるか」を考えて、システムを作って納品したんです。「作業時間が短くなって楽になりました」と目の前でお客様が喜んでくださった姿を見て、すごく嬉しかったですね。お客様の喜びの声を直接聞けたときは、この仕事をやっていてよかったなと思います。
――お客様に直接関われて、喜ぶ顔を見られるというのは、やりがいを感じそうですね!
共に働きたい人物像と若者へのメッセージ
――どんな人と一緒に挑戦していきたいですか?
もう1つは、積極的に行動できる人ですね。最近特に、IT業界では新しい技術がどんどん出てきているので、自分で勉強しないと置いてかれてしまう。主体的であったり積極的であったりすることはすごく大事な姿勢だと思います。
2つ目が自分で率先して動ける人。思いや考えを共有した後に、自分で考えて動いてくれる人は、一緒に仕事をするうえでとてもありがたい。そういう人は自主的に勉強したり、業務の最適化していない部分に気づいたりするんです。
――最後に、高校生や大学生にメッセージをいただけますか?
その反面、ぼんやりでもいいので「こんな仕事がしたいな」「こんな人になりたいな」というビジョンは考えてみてほしいです。
――自分のやりたいことや好きなことにしっかり取り組もうと思いました。ありがとうございました!
(編集:金城 奈々恵)
具体的には、電力業界のお客様が持っている大量のデータを蓄積し、分析するシステムを作っています。システムの修正をしたり、システムに新しい機能を追加したりもしますよ。
AIの活用や開発は、実案件化している企業が岡山には少ないので、会社としても1つアピールポイントなんです。