交通インフラやライフライン、防災施設など、私たちの暮らしを安全・安心に支える縁の下の力持ちのような企業があります。どのようにして、私たちの「当たり前の生活」を支えているのか、総合建設コンサルタント株式会社ウエスコさんに詳しく伺いました。
目次
企業活動を深掘りしてみる
「当たり前の生活」を当たり前に支える仕事
――会社について、教えてください。
――どんな依頼が多いのですか?
――知らないうちに、生活の中にウエスコさんの技術が散りばめられているのですね。
交通工学という研究分野があり、体系化されたノウハウが存在していますが、地域によって状況が異なるため、地域ごとの対応が必要となります。交通工学のマニュアルをもとに、交通状況を把握し、どう展開していくのかと考えることが醍醐味です。
渋滞が起こっている場合には、原因を追及し、どのような対策がとれるかを考え、変化を予測し、発注者や住民の苦情などを解消するように考えます。
――どのように、依頼されるのですか?
決まっていない場合は、目的に応じて調査方法や分析方法といった作業内容を提案し、仕事を進めます。
自然環境分野の強みを活かして、水族館も運営
――「未来に残す自然との共生社会」という理念に基づいて、どんなことをされていますか?
――水族館も運営されていると伺いました。
あまり知られてはいませんが、スポーツジムの運営、おかやまマラソンやサッカーチームファジアーノ岡山FCのスポンサーでもあります。
生きものが好きな学生が、多く集まる
――どんな学生さんが、就職試験を受けますか?
私たちの会社が、自然環境を守りながら、事業を行っているからだと思います。また、他に環境調査会社が少ないため、生きものが好きだけれど、それを仕事にできる会社が少ないということも要因と思います。
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大工の父の影響で
――入社のきっかけを教えてください。
さらに、父親が大工で家を作っており、子どものころから、現場に連れて行ってもらっていました。 モノづくりを仕事にしたかったので、大学では土木系の環境デザイン学科を専攻しましたが、現場で力仕事をするのは向いていないと感じたため、建設コンサルタント会社を選びました。
――入社の決め手を教えてください。
――どの部署に配属されたのですか?
入社するときは、研究内容に関連のありそうな部署で希望を出していたのですが、蓋を開けたら交通計画課でした。結果好きな分野だったのでよかったのですが、自分で選んだというわけではないんです。適性を見ての配属だったようです。
交通渋滞緩和で、社会に貢献する
――やりがいを教えてください。
ただ、職業病でしょうか。運転中に渋滞が起こったら、なぜ起こったのか、もっと効率的に解消できる方法はないかなど、考えてしまいますね。そういうことも楽しいです。
――どんな渋滞対策をされているのですか?
例えば、右折の車線が足りていない場合は、右折車線を延ばすことが考えられます。土地を買わなければいけない対策や、土地を買わずに簡易に対策できる方法を検討します。
交通の動きを見ながら、渋滞の原因を分析します。例えば、交通量が多すぎる、駐車場の入り口が渋滞する、歩行者が多いから渋滞するなど、そういった要因を分析します。
対策案が決まったら、設計担当が設計をし、例えば右折車線を入れて歩道が減る、歩道から外側にどれだけ土地を買わないといけないか設計をします。自治体で対策内容が決まったら、工事会社に発注し、工事が行われ、渋滞が緩和される流れとなります。
計測手法や、解析手法は決まっていますので、入社して勉強すれば問題ありません。
――大変なことはありますか?
バランスを取りながら最適解を提供するために、調整を含めたコンサルティングが必要になります。地元からの反対というニュースを目にしますが、事前調整が不十分だと、こういうことが起きます。フロントは基本的には自治体が行いますが、専門的なことについては、代わりに説明や対応をすることもあります。経験や知識が必要になるため、土木の業界は経験工学と呼ばれることがありますね。3年~5年経験を積んで、一人前の業界です。
交通分野にもDXを
――ご自身の目指すところを教えてください。
新しい技術に興味があり、例えばAIを使って交通量をカウントするシステムを使うことなどに、挑戦したいと考えています。
――取り組み例を教えてください。
その他、データを分析することで、バイパス開通後の交通の変化や、観光の需要予測などに活用することができます。
それで社会が良くなる?と自らに問う
――仕事をするうえで、大切にしていることを教えてください。
インフラを維持していくためには、将来の子どもたちの税金も使われる可能性があるので、本当に必要なものかどうかを考えることが大切です。
効率的に都市を運営するというコンパクトシティ(都市を小さくして、無駄な開発やインフラ整備のコストを抑える)という考え方も注目されています。いかに賢く都市を運営するかという視点もあるので、やはり「それで、社会が良くなる?」ということは頭に入れて仕事をしています。
――働きやすさは、いかがですか?
目指したい未来について聞いてみる
地元に根差しつつ、外にも展開
――目指したい未来について、教えてください。
今は主に西日本を中心に事業を展開していますが、企業として成長すべく、関東や中部地方にも進出しています。さらに、最近では海外展開も始まっています。
(編集:横山 麻衣子)
主に官公庁などの公的機関から発注を受け、建設会社が施工する前段階の計画・調査・設計・施工管理・運営に関わっています。
例えば、道路やトンネルや橋の設計、水の流れを分析した河川の浸水シミュレーションなどを行っています。
また、渋滞対策など交通の円滑化を図るため、信号や交通網の計画を行っています。上下水道や公園の設計や老朽化対策など、生活に密着した様々なプロジェクトを行っています。