若者が声を挙げられる社会にするために、私達にできることは?NO YOUTH NO JAPAN・足立あゆみさんと考えた。

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公開日 2025.02.28

若者が参加して、私達自身で日本をつくっていく。そんな社会にしていくために自分にできることって何だろうーー

 

岡山の大学生・みなほさんは、同じく政治を学ぶ東京の大学生・足立あゆみさんに、そんな思いからアプローチ。11万フォロワーというビッグアカウントを持つ団体の共同代表と、思いきって議論を交わしてきました。

 

若者の政治離れというワードにモヤッと来てしまう人に、ぜひ届けたい。本音あふれるとことんトークです!

 

登場人物紹介

 

★足立あゆみ(あだち あゆみ)さん
「若者が声を届け、その声が響く社会」を目指してInstagramで発信を続ける団体・NO YOUTH NO JAPANの共同代表。早稲田大学の政治学科4回生。

 

 

 

★みなほさん
岡山県内の大学に通う3回生。現在就活ではマスコミ業界を志望中。卒論テーマ『主権者教育』の論考を深めるため、今回は同世代の足立さんに突撃取材。

 

 

★北原
『生き方百科』共同編集長。高校教師の経験を持つ兵庫県在住の2児(小3、小2)の父。普段は裏方だが、政治ついてちょっとモヤモヤしていたため議論にうっかり途中参戦する。

 

 

「若者の政治参加」への二人のアプローチ

あゆみさんの所属するNO YOUTH NO JAPANとは

 

 

今日はお忙しい中ありがとうございます。私は若者の政治参加に対して自分にできるアプローチを勉強していて、今は『主権者教育』についての卒論を書いています。今回お話させてもらうのを楽しみにしてました。よろしくお願いします。

 

 

よろしくお願いします。

 

 

まず、NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)について教えてもらえますか?

 

 

私達は「若者が声を届け、その声が響く社会」を目指して活動を行う団体です。全国に60名ぐらいのメンバーがいて、大学生と社会人が半々ぐらい。活動は主にオンラインで行っています。

 

NYNJのHPの活動概要(HPより抜粋)

 

具体的にはどんな活動をしているんですか?

 

 

はい。3つのチームに分かれて活動しています。Instagramで政治や社会問題について解説する投稿を行うチームと、日本総研さんと共同で若者の調査を行うシンクタンクチーム、それから立候補年齢の引き下げを目指して活動するチームの3つがあります。私はInstagramと立候補年齢引き下げのチームに参加中です。

 

 

Instagramの投稿、すごくわかりやすくて勉強になってます。イベントもやってますよね。有名な議員さんを招待して意見交換する会をしたり。すごいです!

 

NYNJの投稿は、見やすくわかりやすい!

 

主権者教育と参加型デモクラシー

 

私が政治に興味を持ったきっかけは、高校時代にベトナムに行ったことです。ベトナムのある企業を訪問中、社長さんに現在の日本の問題点を指摘され、「このままだと日本は競争に負けちゃうね」って言われちゃって。

 

「なんでだろう。日本はそんなにダメなのかな」っていう疑問から、社会問題が気になって、政治に関心が出たんです。あゆみさんはどうして政治学科を選んでNYNJに入ったんですか?

 

 

社会問題にはもともと関心があったんです。最初は「働いて、お金の力で解決しよう」と考えていたんですが、今ある社会問題ってお金で解決できるものばかりじゃないなってある時に気づいて。

 

だから、制度や法律を扱う政治の場から社会を変えたいと思って政治学科に入りました。NYNJもその延長です。

 

 

そうなんだ。たしかNYNJはメンバーさんがデンマーク視察にも行ってましたよね。

 

 

私は1年間大学を休学してデンマークに留学していて、そこにメンバーが来てくれたんです。

 

 

そうなんですか。どうしてデンマークだったんですか?

 

 

投票率が高く、民主主義がちゃんとしている国だという印象があったので、実際に行ってみたいなと思ってたんです。

 

 

実際行ってみて、やっぱり日本と違うなって思いましたか?テレビで観るとヨーロッパの人って日常的に政治の議論を交わしているイメージなんですけど。

 

デンマーク留学時代の1枚(足立さん提供)

 

そうですね。やっぱり民主主義の空気、土壌が違うなと思いました。若者でもみんな何かしらの意見を持って話していて。

 

 

そういう所を見てから日本に戻って、やっぱりあゆみさんも「日本の若者は政治離れしてるな」って思いましたか?

 

 

そうですね・・・政治離れもあるけど、「政治離れになるような環境をつくられているな」とも感じました。

 

 

政治離れになるような環境?

 

 

はい。学校教育もそうですし、学校を出てからも。

 

学校って、そもそも法律で政治的中立が定められているんですが、日本の場合はそれが「消極的中立」になっていると思うんです。政治についていろんな情報を与えて判断する機会を与えるんじゃなくて、どちらの情報にも触れさせないようにしている。

 

それでは政治の知識も身につかないし、学校内での民主主義も進まないですよね。何か意見を持ったとしても、声を聞いてもらえない、まともに取り合ってもらえない。そんな環境の中で、無力感を学んでいってしまうのかなと。

 

 

そうですよね。だから私は「主権者教育」という教育面からのアプローチに関心を持っています。

 

 

うん、教育のアプローチも大事ですよね。ただ、「教育が問題だ」と結論づけてしまうと、すでに義務教育を終えた人達はどうするのかという問題も出てくるので、私の場合はあえて教育には絞りこまないようにしています。

 

 

たしかに。NYNJは学校教育とはまた違うアプローチですもんね。私は教育で「若者の投票率向上」につなげていけたらと思っているんですが、あゆみさんやNYNJはどんなことを目指していますか?

 

 

私達はビジョンとして「参加型デモクラシー」を掲げています。投票は大事だけど、投票するだけが政治参加ではないですよね。なので「いろんな人達が声を挙げて、その声が聞いてもらえる社会」を目指してます。

 

 

声を挙げる・・・その視点はなかったです。どんな場面でしていくイメージなんですか?

 

 

まずは家庭、学校、習い事や学童などの地域の居場所、そういったところで若い人たちが声を届けていくイメージです。

 

 

若者がそうした場に対して「こうしたい、こうしてほしい」と発信していくということですか?

 

 

そこまで意識が高くなくとも、「おかしいな」という違和感を声にできて、そうした声を拾える社会になったらいいなと私は思ってます。

私とは違う視点で、すごく勉強になります。実は、私のテーマである主権者教育について校長先生と話させてもらう機会があったんですけど、あゆみさんにも聞いてみたいんです。あゆみさんはどう思いますか?

 

 

一方的に教えられるものでない方がいいなと思っています。若い人達にとって必要なのは主権者としての体験を積んで、「自分の声が届いて学校が変わった、社会が変わった」という成功体験を得て行くことだと思うので。

 

一方的に「選挙が大事だから」と教えこむことよりも、そうした体験の方が選挙に行こうと思ってもらうためには効果があると思います。

 

 

そうですよね。以前お話を伺った校長先生も言っていました。私も最初は「教えること」に意識が向いていたんですけど、声を挙げる側に寄り添っていくことが大事ですよね・・・・・・!

 

5周年イベントで集まった声

 

大人もやろう!政治の筋トレ

「声を挙げる壁」を乗り越える筋トレ

 

あゆみさんの「声を挙げる」という話、僕も39歳ですけどすごく思うところがあります。僕たちにできる政治参加の方法って「投票」以外にもあるんじゃないかなってずっと思ってました。

 

でも同時に、自分の中に「声を挙げること」への強い抵抗感も感じていて。地元の兵庫県や国の問題に「おかしい」とは思っていても、それを投票以外にどう表現していいか分からないんです。

 

あゆみさんはデモにも参加していますよね。どうして「声を挙げる」ことができるようになったんですか?

 

 

そうですね・・・、声を挙げることって「筋トレ」に近いものがあるなと思っています。

 

 

筋トレ?

 

 

はい。たとえば「デモへの参加」が100キロのバーベルを持ち上げることだとして、最初から100キロは持ち上げられないですよね。ちょっとずつステップを踏んで、徐々にできるようになっていくものだと思うんです。

 

私の場合、そのステップは家族に思いを話してみるところから始まりました。そこで「そうだね」と受けとめてもらえて、家族が違う意見を持っていたとしても「そうだね。でも、私はこう思うんだ」と「YES,and」で返してくれました

 

私にはそういう環境があったから、「声を挙げる筋肉」も徐々についてきたんだと思っています。

 

 

なるほど。

 

 

でも、声を挙げにくい、意見を言いにくいという感覚は私にもあります。それは、受け取る側の日本社会の中に「意見と人格は別」という考え方が根付いていないからかもしれないと思っていて。

 

 

どういうことですか?

 

 

 

日本の中には、自分の意見を批判されたら「人格を批判された」と感じてしまう人も一定数いて、批判する人も「その人の人格がおかしいんだ」と決めつけてしまっている場合があると思います。でも、意見と人格をつなげてしまうと、すぐにお互いを傷つけあってしまうから、すごく話にくくなりますよね。

 

 

ああ〜、本当にそうですね。意見が違う人に対して、「人として理解できない」って思ってしまうこと、自分にもあります。逆にそう思われるのも怖いし。あゆみさんのご両親は、ちゃんとその前提を持っていたってことですね。

 

 

そうだと思います。私と母は意見が一緒なことが多かったですが、父は結構違いました。でも、父は私の意見を聞いてくれましたし、自分の意見も話してくれました。意見は違っているけど一緒にいて、互いに話せる家族でした。

 

 

ご両親すごいなぁ。正直、僕はそのあたりうまく出来てるか自信がないです。先日の兵庫県知事選挙でも、うっかり娘の意見を否定するところでした。

 

ニュースで興味を持ったみたいなんですけど「私はこの人がいいな」って推しの候補がいたようで。理由を聞いたら「女の人で優しそうだから」って言うんですよね。

 

僕はそれを聞いたとき思わず「大事なのはどんな政策を持っていて、それを実現できるかがじゃない?」って持論を押し付けそうになったんです。9歳相手に。

 

 

わかります。でも、選挙って、誰に投票するのが正解かとか、みんなが同じ考えで同じ人に投票する必要があるとか、そういうものではないんですよね。いろんなところに、いろんな理由で投票する人がいていい。それでこその民主主義のはず。

 

大事なのは、意見の違いがあっても「なぜ互いがそう思っているか」を話し合えることじゃないかと、私は思ってます。意見が違っても友達でいられる。そうであることから未来は生まれるって、私は信じている気がします。

NYNJ5周年イベントにて(撮影:若井玲子さま)

 

意見が違っても、自分の思いを話し合える。その土壌が、NYNJにはある。

若者が声を挙げるための「聞く筋トレ」

 

今の話を聞いていると、まだまだ日本の多くの人にとって「声を挙げる筋トレ」の土台がまだ出来ていないのかなと感じます。あゆみさんはどうしたらいいと思いますか?

 

 

そうですね、聞く側の筋トレはやっぱり大事なんですよね。たとえば学校の生徒会でも、学校への意見を出すと「提案たしかに受け取りました!」って言ってくれるけど、実際その提案がどうなるかを決める職員会議には、生徒達は入れなかったとか。それでうやむやになってしまったという話も、出張授業なんかでよく耳にします。

 

 

ああ〜。

 

 

声を聞くだけじゃ「聞くフリ」になってしまいますよね。その声を響かせるところまでが大事なのに。

 

それと、話を聞くって言ってたのに、生徒が話している途中で「それ違うじゃん」って割りこんでいろいろ言っちゃうパターンもありますよね。

 

 

あーーーーーー、言っちゃう。

 

 

「若い人は未熟だ」っていうものの見方も、同時に変えていかないといけないのかもって思ってます。

 

 

いや、思い当たることだらけです。高校教師してたころ、生徒たちに「クラスの運営についてみんなの意見を出して」と言ったのに、挙がった声に「いや、それは違う」って返したこと、あります。「何だコレ、言わない方がマシだな」って、思わせたこと絶対あります・・・・・・。みなほさんも中学校や高校にいたときに、やっぱりそんなことあったんじゃないですか?

 

 

そういうことだらけだった気がします(笑)。文化祭で「あれしたいこれもしたい」って友達と意見を出したけど、「前例がないからダメ」みたいなことを言われてきました。その繰り返しだったかな。今はきっと、学校も変わっていってきていると思いますけど。

 

 

やっぱりそういうのって、大人側の「若者は未熟だ」っていう見方が強いからなんでしょうか。

 

 

そうかもしれません。立候補年齢引き下げの活動でも、若年者が立候補できない理由は「政治家になるための思慮分別や社会経験が足りないから」なんです。年をとるほど敬うべきという文化なのはわかります。でも、ちょっと怖い考えだとも感じます。思慮分別が何かも分からないですし。

 

 

そうですよね。でも、年をとるほど世の中の利害関係や複雑さが見えてくるから、そうした大人の言い分はすごくわかるんですよね。娘が「もっとこうしたらいいのに」って理想論を話すときにも「でも、現実は複雑で難しいんだよ」ってやっぱり思ってしまう。自分がだんだん分かってきたことだから、余計になのかな。

 

 

若者の意見を、世の中が分かっていない者の理想論だと思う方も多いでしょうね。私も立候補年齢の引き下げ運動をしていると、「世の中は複雑だからもっと勉強しなさい」「実現可能性の低いこと言ってちゃダメ」ってよく言われます。

 

でも、理想論を掲げることも大事だと思うんです。長い歴史を見てみると、理想論が今の社会制度をつくってきているんですよね。今では当たり前の女性参政権だって、当時は理想論だったはずです。

 

「世の中は複雑だから」という見方も数ある見方の一つであるはずで。私達の見方もその一つで。そんないろいろな立場を、代表する人達で話し合っていくことが大事なはずなのに。私はそこでずっと葛藤を感じてます。

 

 

そうですよね。家の中でも子どもが「おかしいじゃん」って不満に、つい「じゃあどうしたらいいの?」って返しちゃったりすることもありますけど、対案がなければ話しちゃいけないって結構暴力的ですよね。一応、現状に不満を言うばっかりじゃ良くないって思いの現れなんだけど・・・。

 

 

その気持ちもわかります。でも、「おかしい」って思うところからすべては始まっていくと思うんです。それを言えなくなってしまったら、その後の筋肉すら付かなくなってしまいますよね。

 

「こんなのおかしい」という問題提起や課題設定だって重要な役割で、「じゃあどうしたらいいんだろうね」っていう議論は、その次のステップで話し合ったらいいはずです。それも、「聞く筋トレ」になるんだと思います。

 

若者の意見を聞こうっていうキャンペーンもよくありますけど、新しいトレンドみたいな消費者的観点だったり「何の食べ物が好き?」みたいな安全な範囲のことばかりなんです。「この社会にどう思ってる?」とか、大人の耳に痛いような意見はあまり期待されていなくて。それでこちらから声を挙げたら「対案出して!」と言われると・・・。

 

 

話してて思ったけど、「自分にとって都合の良い、新しい意見が欲しい」って、どこかで僕たちは思ってしまうんでしょうね。

 

 

若い人も何か提案することで、その次のステップとして「自分の提案がすべては通らない」ということを学んでいくんだと思うんです。でも、なぜ通らないかの理由さえ話してもらえずに取り合ってもらえなかったら、若者がその後の筋肉をつける機会がなくなってしまいます。

 

 

たしかに。

 

若者と大人はどうあるべきか。

みなほさんは、ここまでの筋トレの話を聞いてどう思いましたか?

 

 

提案の全部が全部通らないのは当たり前って、私達若者にとって確かに大事だなって思いました。1個やってることがうまくいかなかったり、失敗しちゃったら「もう全部いいや」って思ってしまうのって、若者に共通するところだよなって。私も含めて。それを学んでいくことは、私達がちゃんと大人になる上で大事ですよね。

 

 

どうしたらこらえられるようになると思う?

 

 

やっぱりあゆみさんが話していた「成功体験」かな。今は意見を挙げられない子がたくさんいる中で、ファーストペンギンみたいにがんばってくれた人の声が通ったっていう成功体験を得られるって、すごく重要だなって思います。

 

 

子どもだって自分の意見を述べていいし、おかしいと思ったことを言っていいという権利・意見表明権があるんです。

 

でも、それを持っているって若者も大人も知らないし、大事に思って育ってきてません。大人が子供の意見や議論に介入して誘導しがちだし、みんな、意見を表明することをわがままだと思ってしまっているから。「声を挙げていいんだよ」「あなたのことだよ」って、浸透させたいです。

 

 

そうですね。僕もその意識を持って育ってきていないから、子どもが意見表明をしたときに「自分はそんなの許されなかった」と反発してしまうのかも。でも、こうやってみなほさんやあゆみさんが声を挙げて活動していることに、すごく希望を感じてます。意識を変えていくために、僕も筋トレしようと思います!

 

 

ホント、今日は学びになる話ばっかりでした。あゆみさん、ありがとうございました!

 

 

(編集:中村 暁子/執筆:北原泰幸)

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