ほとんどの電気・電子機器に利用されている素材、銅。電気を通しやすく、加工しやすく、腐食しにくい銅は、スマートフォンや乗り物・家電製品に至るまで、なくてはならない素材です。
この銅製品のもととなる電気銅を生産している会社が岡山県にあります。瀬戸内海の風光明媚な環境と、海運に恵まれた日比共同製錬株式会社です。
今回、玉野製錬所の製造部副部長・波多江さんにインタビューをしました。私たちの暮らしを支える工場の舞台裏に迫ります!
目次
銅はどうやって、つくられている?
1日1000t!純度99.99%の電気銅のつくり方
海外などの鉱山から採掘された銅鉱石を、5万トンクラスの大型船舶で、当社に輸送します。さまざまな工程を経て、純度99.99%以上(通称:フォーナイン)の電気銅を、1日1000トン規模で製造し、出荷しています。
※カーボンニュートラルとは:温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。排出量と同じ量を吸収または除去することで差し引きゼロを目指す。
多様な人材によって銅を製造
また、スポーツ大会を開催したり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに社員と家族で行ったこともあります。コロナが落ち着いてきたので、再開に向けて現在企画中です。さらには、地域の貢献活動の一環として渋川海岸の清掃活動も毎年実施しています。
130年、脈々と受け継がれる銅製錬の技術
具体例を挙げますね。当社が電気銅を製造し、グループ会社でスマートフォンを製造しています。皆さんもスマートフォンが古くなり、新しいスマートフォンに機種変更をする場合、廃棄されたスマートフォンなどに含まれる銅などの金属は当社でリサイクルすることができます。生産からリサイクルまで、世の中の循環型社会のニーズに貢献できる事業体となっています。 2つ目に技術力です。日比の地で銅製煉がスタートして130年という長い歴史を持つ製錬所なので、リサイクル原料の比率や電解設備の電流効率などの銅製錬の技術は、世界トップレベルを誇っています。
1日1000トン規模の電気銅をつくるために、熱い熔体や大きな設備を取り扱うので、一人では何もできません。このチームワークを維持している社員のみなさんが、一番の強みだと思います。
DXやロボット化で、さらなる職場環境改善へ
具体的には、自熔炉では原料から発生する余剰な熱を利用して、 銅のリサイクル品を熔解しています。リサイクルの効率を上げることは、循環型社会への貢献につながります。熱回収・自家発電も行っていることから、この比率を高める取り組みを行っていくために、若手社員と最新技術の適用ができないか検討をしています。
仲間への配慮を持った職場雰囲気を持続することはもちろんですが、高熱の熔体を取り扱う職場環境の改善のためにも、DXやロボット化などを駆使した新たな革新技術の導入にも力を入れていきます。
波多江さんの仕事は「改善」のプロ
製造部のチームワークを支える
海外の鉱山から掘り出した時点では、 鉱石は数%しかありませんが、 鉱山で破砕、選別が行われ、銅30%程度となって船で運ばれてきます。一見、土としか見えない銅の原料を、自熔炉・転炉・精製炉の3種類の炉で1300°Cの高温で処理することで 99%まで高めることができます。それを電気分解して、さらに純度を高めて、99.99%以上の高純度の銅の板=電気銅をつくるまでが製造部の仕事です。 電線メーカーさんのほか、当社は銅を使った電子部品を製造している三井金属のグループ会社なので、三井金属にも納品しています。
工場生産は24時間365日稼働しているので、毎日の報告・連絡・相談で密に連携しています。
改善事項や困りごとを聞き、さらに良くなる方法がないか議論していく仕事が多いですね。
モノづくりがやりたいと思っていた
「改善・成功・一緒にお祝い」が嬉しい
教えてもらいながらですが、自分が考えた技術を、製造現場の方々と一緒に改善し、成功し、一緒にお祝いをしたことが楽しかったです。私が改良した工具を先輩たちが使ってくれたこともよい思い出です。 成功するまでの試行錯誤はしんどいことではありますが、まわりのみなさんに助けられて、さらにもう一歩進むことにやりがいを感じています。一緒になって取り組んでくれるまわりの先輩たち、仲間たちが多くいることが一番の魅力だと思います。
場所は変われど楽しい全国転勤
地元で働きたい人もいると思いますが、私は入社当初「どこへでも行きます!」と伝えていたので、埼玉・岐阜・青森・ 福岡の転勤を経由して、今岡山にいます。青森に転勤したときは「ウィンタースポーツを制覇してやる!」と思い、休日はスノーボードを楽しみました。
ただ、社内はどこに行ってもチームワークもよく、みなさんいい人ばかりだったので楽しく仕事ができました。
やりがいを持って前向きに取り組む
(編集:横山麻衣子)