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とことんトーク! “勉強”について勉強してみた

あれ? 自分ってなんでこんなに勉強しなきゃいけないんだっけ……。
誰でも一度くらいはそんなことを考えたことがあるんじゃないでしょうか。
テストでいい点をとるため? 受験に合格するため? そもそも勉強ができるってどういうこと?
そんなモヤモヤを感じながらも大学に進学したゆっちゃんと、塾を経営している高山さんが“勉強”についてあれこれ考えてみました。

【登場人物紹介】

★ゆっちゃん
岡山大学文学部1回生。今はいろんな分野を幅広く勉強して自分の興味を探している最中。アルバイトは週に2日の塾講師。目的もなく、なんとなく勉強してきたことに、モヤモヤを感じている。

 

★タカヤマ(高山 和成)
誠和学舎というちょっと変わった塾を経営している人。塾なのに勉強だけでなく、日常生活や社会の中の身近なことがらについて探究する「探究学習」をしていたりする。ふだんから人一倍、勉強することについてあれこれと考えている、いわば“勉強のプロフェッショナル”!
★シガクさん(森分 志学)
NPO法人だっぴの代表の人。聞き役なのであまり出ませんが、たまにポツリとつぶやきます。

 

【あれこれ考える】

勉強と遊び、どっちも大事じゃない?

私が高校生のとき、自分の意思なく勉強ばかりしてたんですけど、それが良くないなって思ってたこともあって。だからと言って大学の受験勉強をしないという選択を取ることもできなかったんです。

 

私が塾に勤めてるのもあるんですけど、「子どものときに勉強できないと将来ダメなんだ」とか言ってる人に、どう声かけていいのかなっていうのを迷っていて。

 

これは僕としても永遠の課題ですね。多くの学習塾は、成績を上げることが至上命題でやっているとは思います。そこからの脱却を図りたいなっていうのはあるんですけど。

 

私がアルバイトしている個別指導塾で、遊んでいたことを責める言葉を聞いたりもします。でも最近は、遊びという体験も大事だなって思って、まだ小さい子たちが遊ばずに塾に来ていいのかなとか(笑)。

 

勉強も大事だと思うんですけど、受験勉強って作業的なことも多くて。暗記科目でも「あ、こんなことあるんだ」っていうことを頭に入れるだけでいいのかなって。

 

たとえば、国際バカロレア*っていうおもしろい教育プログラムがあります。その推進校は、学びのプログラムを探究的にやっていくので、一見受験には結びつかないような勉強の仕方をしていくんですけど、卒業生はクリエイティブな進学をしていくんですね。

いわゆる名門大学にも入っていきますし、そこまで培ってきた自分の探究やキャリア観を使って、名門じゃなくても自分の力を生かせるような進学を主体的にしています。最近はそういう若い人も増えている気がしますね。

 

*チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせる教育プログラム。日本で導入している学校は53校(2021年9月時点)

 

おもしろいですね!学び=自分の良い体験になることが、私も一番理想だと思っていました。私のアルバイト先の塾では、理想は理想として、現実は詰め込みの勉強が多くのところでまだ行われています。これが結構モヤモヤするところなんです。

 

単純に受験のための勉強、体験を重視する勉強、どちらがいいという話ではないと思っています。人によって何のために勉強するのかは違うはずですから。でも、少なくとも小中学生くらいの時には、自分を作っていくための勉強をしてほしいなって思います。

写真:Лариса Мозговая / Pixabay

 

自分の将来のための勉強とか、自分のなりたい姿になるための勉強だと思える教え方を、僕の塾ではしているつもりなんですね。

 

本当に、生徒によってさまざまで、私もどう声掛けしてあげたらよいか迷っていたんですけど、やっぱり、自分のための勉強という声掛けがすごく良いなぁって思います。私が「こうすべきだよ!」とアドバイスするのではなく、自分のためにいろんな道があることを示して、最終的には、自分が納得して進められるように促してあげられたら良いですよね。

 

モヤモヤしながら勉強し続けられるのも才能

「勉強の意味を自分で考えながら勉強する力」って、どんな風に教えるんですか?

 

僕のところでは、頭の使い方をずっと指導していると自分では思っています。僕が最初に家庭教師を始めたころは、わからない問題が出たら、教えて、わかったとなるんだけど、また次にわからない問題が出たら、また教えて……とこの繰り返しで。

結局これって、自分の頭で考えて問題を解決する力を教えられていないですよね。

写真:PublicDomainPictures / Pixabay

 

これって、スポーツでもなんでも同じだと思うんです。人間が新しい技術を習得するときに必要なのはこの4つ。学校では、それを“勉強”を通して学んでいるんです。

だから決して、受験のためだけに活きるわけではないんです。勉強を面白くないと思っている人はね、勉強としか向き合ってないんです。それはもったいないです。“勉強”はあくまで何かを実現するためのツールだから、勉強と向き合うってこと自体がちょっとおかしいんですよね。

 

なるほど! 私も塾では勉強を教えるんですけど、私からの言葉として早くても遅くてもいいから、「自分で」勉強に向き合うんだよってことを言えたらいいなと思いました。そういう言葉を一度でもかけられると違うと思うんです。自分の学習進度が遅いことに不安をもっている生徒にも。

 

私はどちらかというと、真面目で、成績を気にして、勉強してきたタイプなんですけど、兄は、学校の勉強があってないと感じていて、あまり勉強せずに、高校生の時にゲーム制作を始めたんです。ずっとゲームを作っていて、結局専門学校に行って、そのままゲームクリエイターになったんです。

 

私はそんな兄を見てゲーム制作も面白そうだなと思いつつ、結局ずっと勉強していたんです。それはやっぱり大学に行くことが将来のために良いことだと思って、好きでもないけど勉強して、結局好きでない勉強をずっとやっているな……何のためなんだろうという葛藤がありました。

 

なるほど。とてもいい葛藤ですね。ゆっちゃんの周りではきっと、進路の作り方って高校行って、大学行って、就職くらいしか言ってくれませんよね。そんな中で、お兄さんの自由奔放な選択は普通じゃないって感じたのは当たり前の感覚だと思いますよ。

 

一方で、お兄さんが早い段階でゲーム制作という自分の「これならやりたい」と思える方向を見つけて、そっちに進んだことも一つの勇気ある決断だと思いますし、自分のやりたいことを見つける感度が高いともいえます。でも、だからといってどちらが正解ということは言えないです。

写真:Juraj Varga / Pixabay

 

それが欲しくても手に入れられない人ってたくさんいるんです。多くの人はそこから逃げてしまいますから。ゆっちゃんは、ここまでこれたことを自分でちゃんと認めてあげてよいと思います。

 

ありがとうございます。初めて言われました!

 

で、けっきょく“勉強”って何のためなんだっけ?

私、実は勉強に対する考え方が自分の中でガラッと変わったことがあって。そのきっかけが留学先のニュージーランドなんですけど、生徒が完全に自分のために勉強してるんですよ。先生が指示をほとんどしてなくて、生徒から先生に教えてくれって言ってやっていくような感じで。「あ、そういえば勉強って自分のためにしてるんじゃん」ってそこで気付いて(笑)。

 

そこは多分、ニュージーランドの教育が目指しているものと日本との違いに気づいちゃったんだと思うんですよ。それに気づいたときに、勉強の仕方って一つじゃないんだなという気づきがあったんだと思うんですね。

 

今回、高山さんたちとお話ししていて、また勉強に対して何か新しい解釈を得られたなっていうのがあります。やっぱり自分のための勉強なんだよっていうのを、しっかり塾で教えている生徒たちにも、自分なりの言葉で伝えていきたいなっていうふうにすごく思いました。

 

本当に、そのとおりですね。連立方程式が解けたからといって、社会人になって年収が上がるわけではないんですけど(笑)。連立方程式を解くための頭の使い方それ自体が、その人のためになっているっていうふうに僕はよく説明しています。

 

あともう1つこれは絶対付け加えておかないといけないんですけど、皆さんが勉強することで一番メリットがあるのは誰だと思いますか?

皆さんが勉強することで、一番メリットがあるのは誰なのかというと……一番は「社会」のはずなんですね。色んな大人が教育に力を尽くしていくことで、子どもたちが大人になって社会に出ていきます。その結果、その子どもたちが暮らす社会がより良くなるというのが教育の最重要目標のはずなんです。

写真:un-perfekt / Pixabay

 

なので自分の能力とかキャリアとかだけでなく、それを将来社会に出てどうそこにに貢献していくか、いかに社会のために使っていくかということを、ぜひ伝えてもらいたいなと思っています。

 

なんだかいろいろと自分のなかで整理できた感じがします。ありがとうございました!
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