あれ? 自分ってなんでこんなに勉強しなきゃいけないんだっけ……。
誰でも一度くらいはそんなことを考えたことがあるんじゃないでしょうか。
テストでいい点をとるため? 受験に合格するため? そもそも勉強ができるってどういうこと?
そんなモヤモヤを感じながらも大学に進学したゆっちゃんと、塾を経営している高山さんが“勉強”についてあれこれ考えてみました。
目次
登場人物紹介
誠和学舎というちょっと変わった塾を経営している人。塾なのに勉強だけでなく、日常生活や社会の中の身近なことがらについて探究する「探究学習」をしていたりする。ふだんから人一倍、勉強することについてあれこれと考えている、いわば“勉強のプロフェッショナル”!
勉強と遊び、どっちも大事じゃない?
真面目に勉強するのと、自分の体験を大切にしていくこと。どういうバランスがよいのかという疑問があります。
私が塾に勤めてるのもあるんですけど、「子どものときに勉強できないと将来ダメなんだ」とか言ってる人に、どう声かけていいのかなっていうのを迷っていて。
勉強も大事だと思うんですけど、受験勉強って作業的なことも多くて。暗記科目でも「あ、こんなことあるんだ」っていうことを頭に入れるだけでいいのかなって。
いわゆる名門大学にも入っていきますし、そこまで培ってきた自分の探究やキャリア観を使って、名門じゃなくても自分の力を生かせるような進学を主体的にしています。最近はそういう若い人も増えている気がしますね。
*国際バカロレア:チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせる教育プログラム。日本で導入している学校は53校(2021年9月時点)
自分の将来のための勉強とか、自分のなりたい姿になるための勉強だと思える教え方を、僕の塾ではしているつもりなんですね。
モヤモヤしながら勉強し続けられるのも才能
結局これって、自分の頭で考えて問題を解決する力を教えられていないですよね。
①新しい知識を知って
②理解して
③習得して
④しっかり反復する
この4段階。これが僕がとにかく伝えたいことです。これって、スポーツでもなんでも同じだと思うんです。人間が新しい技術を習得するときに必要なのはこの4つ。学校では、それを“勉強”を通して学んでいるんです。
だから決して、受験のためだけに活きるわけではないんです。勉強を面白くないと思っている人はね、勉強としか向き合ってないんです。それはもったいないです。“勉強”はあくまで何かを実現するためのツールだから、勉強と向き合うってこと自体がちょっとおかしいんですよね。
私はどちらかというと、真面目で、成績を気にして、勉強してきたタイプなんですけど、兄は、学校の勉強があってないと感じていて、あまり勉強せずに、高校生の時にゲーム制作を始めたんです。ずっとゲームを作っていて、結局専門学校に行って、そのままゲームクリエイターになったんです。
私はそんな兄を見てゲーム制作も面白そうだなと思いつつ、結局ずっと勉強していたんです。それはやっぱり大学に行くことが将来のために良いことだと思って、好きでもないけど勉強して、結局好きでない勉強をずっとやっているな……何のためなんだろうという葛藤がありました。
一方で、お兄さんが早い段階でゲーム制作という自分の「これならやりたい」と思える方向を見つけて、そっちに進んだことも一つの勇気ある決断だと思いますし、自分のやりたいことを見つける感度が高いともいえます。でも、だからといってどちらが正解ということは言えないです。
モヤモヤしながらも勉強を続けていけるっていうことも一つの才能なんです。それが欲しくても手に入れられない人ってたくさんいるんです。多くの人はそこから逃げてしまいますから。ゆっちゃんは、ここまでこれたことを自分でちゃんと認めてあげてよいと思います。
で、けっきょく“勉強”って何のためなんだっけ?
あともう1つこれは絶対付け加えておかないといけないんですけど、皆さんが勉強することで一番メリットがあるのは誰だと思いますか?
色んな大人が教育に力を尽くしていくことで、子どもたちが大人になって社会に出ていきます。その結果、その子どもたちの暮らす社会がより良くなることということが教育の最重要目標のはずなんです。
なので自分の能力とかキャリアとかだけでなく、それを将来社会に出てどうそこにに貢献していくか、いかに社会のために使っていくかということを、ぜひ伝えてもらいたいなと思っています。
編集:森分志学
岡山大学文学部1回生。今はいろんな分野を幅広く勉強して自分の興味を探している最中。アルバイトは週に2日の塾講師。目的もなく、なんとなく勉強してきたことに、モヤモヤを感じている。