「家」のどんなところに魅力を感じているのか。何を大切にしているのか。
住宅業界への就職を考える大学生が、住まいから暮らしまでひっくるめてコーディネート&アドバイスしているという亀田さんに話を聞いてきました。
「好きなことがあるけど、それって仕事にできるの?」
「好きを仕事にしていくってどういうことなの?」
そんな疑問を持ったことがある人はぜひ読んでみてください。亀田さんの生き方がヒントになるかもしれません。
目次
亀田さんのお仕事
家の間取りやインテリアについて一緒に考える
ーーインテリアコーディネーターとして、どんなお仕事をしてますか?
これまでもずっと住宅に関わる仕事をしてきて、今は独立して3年目です。
ーーどんな風にお客さんにアドバイスをするんですか?
例えば、新築をご希望のお客さんであれば、家の外壁の色や壁紙、キッチンなどの設備を一緒に選んでいきます。リフォームの方であれば、工事中に直接現地へ行って現場監督さんや職人さんと相談して希望を伝えることもあります。カーテンの掛け替えや椅子の張り替えなどのご相談もあります。
私は建築士の資格も持っているので、土地を探すところからご相談いただく場合もありますよ。お客さんの希望を伺いながら、間取りを考えてインテリアを提案して、家が完成するまで寄り添うのが、私の仕事です。
――本当に0からトータルコーディネートなんですね!家にも愛着も湧きそうです。
インテリアコーディネーターの中でも、私の場合は仕事の幅が広い方かもしれません。職業訓練校で講師の仕事も最近はじめました。
――どんな学校なんですか?
実は私が通っていた学校でもあって、その頃のご縁が今の仕事につながっていますね。
お客さんのことをできるだけ深く知る
ーー一人ひとりにぴったりの提案をするということでしたが、そのために心がけていることはなんですか?
お客さんの雰囲気や会話から「この方だったらこういうのが好きだろうな」「こういう色合いや素材の質感がお好きなんだな」という情報を感じ取っていきます。
それは、ただ表面的なものだけではなくて。「この方はどんなふうに暮らしたいのかな」「どんなふうに生きていきたいのかな」「将来どうなっていきたいのかな」ということまで含めて考えて。家は一生に関わるものですから。
ーー亀田さんのお仕事はお客さんの生き方にも関わっていくものなんですね!
亀田さんのこれまで
チラシ集めからはじまった「家」への興味
ーー幼い頃、亀田さんはどんなお子さんでしたか?
――え、そうだったんですか!?
父が転勤族で引っ越しがすごく多くて。そんな中で人見知りしていたら、友達もできないから人見知りとかしていられなくて(笑)
それと、小さい頃から家のチラシ集めが好きでした。ずっと借家暮らしだったこともあって、子どもなりに、色んな家を見て夢を膨らませていましたね。でも、小学4年生の時に両親がバルコニー付きの家を買って、その時に初めて自分の個室ができたんですよ。
ーーそれはうれしいですね。
その頃からどんどん家のことへの興味が強くなって、小学校6年生の時から家の雑誌を読むようになっていました。
ある時、その雑誌に「女の人が自分の感性や主婦の経験を活かして、一生続けられる仕事」ってインテリアコーディネーターのことが紹介されていて。それを見て、今の仕事に憧れるようになりました。
――そこからすぐにインテリアコーディネーターを目指し始めたのですか?
「すぐ学びたいのに・・・」学生時代のモヤモヤ
インテリアコーディネーターをはっきり目指し始めたのは、中学生の時でした。 マイルームを手に入れてから、部屋の模様替えがとにかく好きで、ずーっとやってたんですよ。模様替えの雑誌を読んで自分でカーテン縫ったり、どうやったら部屋をオシャレにできるか考えたり。ハマってましたね。そうしてるうちに、インテリアコーディネーターをはっきりと目指すようになりました。
ーー高校進学はどうしたんですか?
でも「絵で食べていくのはちょっと大変なんじゃないかな」って当時は思って。住居のことが学べる関西の大学に進学しました。大人になってみると、絵で食べていく仕事もあるとわかりましたが。
――大学では住居のことをずっと勉強していたんですか?
家政学部の住環境学科に進学したのですが、住宅のことを専門的に学べたのは大学3年生からだったんです。最初は家政学全般のことから広く学び初めて、洋服を作ったり、服のデザイン画を描いたりしていました。
――3年生から!?家のことを勉強しに行ったのに!
――素敵です、「あれは無駄だった」とはならなかったんですね。
好きなことに近づいていった結果
――それで大学卒業後、新卒で住宅会社に就職を?
――就職活動をするにあたって、迷いはなかったんですか?
ただ、大きな会社での家づくりは、たくさんの人間が関わるため分業されているんです。営業の人がいて、設計の人がいて、コーディネーターがいて。 その中で「お客様とも家づくりとも、もっと深く関わりたい」という思いを徐々に自分の内から感じるようになり、本当に自分がやりたいことを自覚していきました。
ーーそれで、今のような0からお客さんと深く関わるような仕事を目指されたんですか?
――働きながら夜も学校行くって大変じゃなかったですか?
ただ、資格勉強の学校では、色んな人と出会えるんですね。みんな色んな背景があって、年齢もバラバラで、だけど同じ志を持っていて、そんな仲間と励ましあえて。だから、勉強も結構楽しかったです。
――現在は独立されてるんでしたよね?20年以上ずっと企業で働いてきた後、いざ「独立するぞ」ってなった時に怖さはなかったんですか?
ただ、すぐに独立したわけではなくて、また別の会社で契約社員として働きながら独立の準備をしていました。
――開業まではスムーズに行ったんですか?
それで、自分の庭で自分の好きな植物を植えたりお世話したりするのが好きだったので、フラワーデザインの職業訓練校に4ヶ月通いました。
ーー卒業後はお花の業界で働くことにしたんですか?
住まいの仕事って本当に何も無駄にならないんです。いろんなことが活きてくるのでいくらでも追求できて。色んな人にも出会えて。お客さんも一人一人違うし、家も一軒一軒違うし。興味が尽きない仕事ですね。私にはそれが合っているなと思います。
――亀田さんが頑張ってきたことが全部活きてきたんですね!
「この人と一緒に仕事したいな」とか「これ面白そうだな」「こうすると喜んでくれそう」と思ったことはとりあえずやってみる。あんまり損とか得とかを考えずに。あとは、自分のやりたいことを声に出して、いろんな人に話をすることも大事にしています。 そうしていたら時々、私のことを思い出してくれた人から楽しそうなお話をいただいて、つながっていくんですよね。人とのつながりがやっぱりすごく大事だと思います。
中高生の自分に伝えたい言葉
――最後に、もし亀田さんが「中高生の時の自分」に何か一つ伝えられるとしたら、今どんな言葉をかけますか?
そうだなぁ「私は好きなことをやって自由に生きてますよ、安心してね」って伝えたいですね。 「色々悩んだりしてたこともあるかもしれないけど、なんとかなるんだよ人生」って。 「ダメだって思ってもなんとかなるんだよ」って。 夢を信じてやっていれば、支えてくれて、助けてくれる人が出てきましたから。
――亀田さんありがとうございました!
(編集:北原泰幸)
今回のゲスト。理想の住まいと暮らしをかたちにするインテリアコーディネート・デザインオフィス「nekko」代表。フリーランスとして新築・リノベーションなどを手掛けられています。おうちにはネコちゃんが4匹もいるんだとか。