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塩瀬さんが関わる人たち
地域の人たちと始める

今日はよろしくお願いします。さっそくなんですが、塩瀬さんは公民館職員の仕事で、主に誰と関わっているんですか?

私は事業を計画したりする立場なので、地元に住んでいる人でもPTAの方々など様々ですね。学校の先生と連携の事業を考えたり、町内会の方や子育て中の方、NPOの方ともやりとりをしています。あとは、大学生とも一緒に事業をやっています。

この人たちとは、例えばどんなことをしているんですか?

PTAの有志の人たちと防災講座や歴史ツアーをやったりしています。

例えば、防災講座はどういう経緯で事業が組み立てられたんですか?

PTAに入っている人たちと関わり始めたときに、「小学生のときから防災に関心があったら大人になったときに困らないよね」という世間話をしていたんです。そこから「ちょうど今、防災講座のことを考えてるんですけど、どうですか?」という感じで巻き込んでいきましたね。

30代・40代の方にイベントに来てもらおうと思ったら夜の時間の開催になりますが、子どもを家に置いてくるわけにはいきません。そこで、子どもも楽しめるような講座を(PTA有志の人に)担当してもらったりしました。

なるほど。塩瀬さんの事業のつくり方というのは、地域の人たちとの何気ない会話の中から、「こういう機会があった方がいいんですかね?」みたいな感じで一緒につくっていくんですね。

そうですね。地域の課題を拾って、それが解決につながるような学習の場を提供することが私たちの目的の1つなので。
人と人をつなげる

その中で、段々と関わりが深くなっていくにつれて、向こうからも話を持ってきてくれるようになるし、こっちも人を紹介して、人と人を結びつける。

なるほど。

まだお互いに知らないけど、知り合いになったらすごい面白いことが起きそうな人っているんですよ。その人たちをつなげるために、ある講座に両方の人に声をかけて来てもらって「実は紹介したかったんですよ」とご紹介したりすることもあるんですけど、そういうことをすると皆さんも乗ってくれて。
「塩瀬に言っておけばつなげてくれる」ってことで、最近色んな人を紹介してくれるようになったんですよ!
職員や来館者とのやりとり

あとは、どんな人と関わっているのですか?

自分だけがつながるんじゃなくて、職員たちにも情報提供してます。「塩瀬じゃないと分からない」では良くないと思っているので。
なので、うるさいぐらいよくしゃべっています(笑)

(笑)
あと、来館される方とはどんな関わりがあるのですか?

色々ありますけど、大きくは相談ごとですかね。学習相談や新しいことを始めたいという人に習い事の情報を提供したり。
▼図解5minダイジェスト▼
塩瀬さんの価値観
市民参加を目指して

公民館が何か事業を提供して、それに地域の人が参加するということではなく、地域の人が企画から巻き込まれていく。一緒に課題を解決できるとか、一緒に楽しめるものを考える「参画型」に、ここ10~20年で変わってきています。
岡山市の公民館の基本方針では、「開かれた公民館」で多様な人たちが集まって地域や未来のことを一緒に考える、出会いやつながり、学びの場をつくっていくことが書かれています。職員ではなく、市民の人が活躍する場づくりを目指しています。

塩瀬さんが地域の人と関わるときに大切にされていることは何ですか?

「市民の目線に立って」という気持ちですかね。私自身も自分の地区のPTAや子ども会の活動をしているので、高島(仕事場)の地域の人たちとも同じ目線で情報交換できる。
自分が普段の暮らしの中で気になっていることは、他の誰かも気になっていることだと思うので、その感覚を大切にしています。地域の人と、学校で困っていることや子どものトラブルなど”おばちゃんトーク”をする中で信頼関係がつくられていきますね。

地域の人たちと事業を実行するときに気を付けていることはありますか?

基本的に社会教育は「やりたい人がやる」なので、ボランティアするにしても楽しいということが大切ですね。しんどそうだったら無理しなくていいから、あまり強引に引き込み過ぎないようにしています。この人はいけると思ったら、グイグイいきます(笑)
誰かの活躍する姿が嬉しい

じゃあ、観察眼みたいなものも必要ですね。

すごい人を見てますね。私自身は何もできないと思っているので、何かできる人が舞台を与えられて、そこで活躍してもらえるのが楽しくて。

塩瀬さんも一緒に楽しんでそうですね(笑)

そうですね。私はみんなが楽しそうにしているのを見るのが、すごい楽しいですね。

何か印象的だったエピソードとかってありますか?

活動を一緒にやっている地域の人から「仲間だと思っているよ」と言われたときは嬉しかったですね。
丁寧な関係性づくり

人間関係つくれるまでは、折に触れて色んな話題を出しながら、相談したりとかをしていますね。事業に関わりを持っていない人でも、公民館で起きていることを相談してアドバイスもらったりとか、そういうやりとりをやってますね。それを繰り返すことで、人の紹介をしてもらえたりします。

丁寧な関係性づくりをされてる印象なんですが、それはやはり気を付けているポイントですか?

はい、気を付けてやっていますね。自分が逆の立場だったらと想像して「こういう風に言われたら嫌かな」みたいなことは考えてますね。

塩瀬さんの人との間合いの取り方やコミュニケーション能力はどこで培われたんですか?

私は一人遊びが好きな大人しい子どもだったので、人間関係づくりが得意な方ではなかったんです。だけど、この仕事に助けられているところはあるかなと思います。段々そういう風になっていったというか。

仕事を始めたての頃は今のスタイルではなかったんですか?

そうですね。年配の方が多かったということもありますが、来た人に丁寧に対応し過ぎて、その人の自立を妨げていたように思います。今は、できる人にはやってもらった方が、その人のためになるという考え方になりました。
元々は人に嫌われたくないという思いが強くて、八方美人な自分を超えないといけないと思っていました。みんなに好かれることはないと今は思っていますね。
塩瀬さんのしていることとは何か

最後に、「塩瀬さんが“生み出している/つくっている”ものって何ですか?」ということを聞きたいのですが、この質問にどうお答えになられますか?
人間関係が希薄になっていると言われている現代社会ですけど、人との関わりの中で色んなことが起きて未来をつくっていると思っているので。「人のつながりから未来をつくっている」ですかね。

今回は「塩瀬さんが見る公民館職員の社会」について、お話伺っていこうと思います。