都会から地方に移住する人が注目を集めています。高梁市で教育DX × 移住したくなる地域づくりを進める横山弘毅(よこやまひろき)さんも移住者の一人。
横山さんがどのような経緯で高梁市にやってきたのか、高梁市でどんなことを行っているのかに迫ります!
目次
横山さんのこれまで
小学6年生、父親の会社が倒産する
槍投げに没頭する高校時代
——じゃあ学校の先生を目指して勉強に励むようになったんですか?
すごく熱心な先生で、みんな未経験者からのスタートなのに毎年1人2人はインターハイに出場しちゃうんですよ。強豪校をおさえて下剋上を起こしちゃう。「軍隊か!」って思うほど厳しかったですけど。
高校の時の授業や行事の記憶なんて全くないです。文化祭なんてあったっけって今だに思い出せないぐらい(笑)
——そこが2つ目のターニングポイントですね!完全に部活漬けの日々(笑)
体育学部のトップアスリートたちとの出会い
それで競技に未練が残り、リハビリ系の専門学校を検討していた進路を高3の夏で転向、東海大学の体育学部を目指すことにしました。小6以来の勉強なので、英語なんかSVOからのスタート。先生も苦笑いでした。
——高3の夏ですよね!?無事に合格できましたか?
これが本当に得がたい経験で、ここが3つ目のターニングポイントです。
教育系のベンチャー企業に就職
——学校の先生を目指されてたんですよね。体育学部だから体育の先生になったんですか?
それに、社会人経験なしに先生することにも違和感があったので、就職活動をすることにしました。教育系のベンチャー企業にするか、大手の教育系企業にするかで結構迷いました。
——これも大きな人生の分かれ道ですよね。どうやって決めたんですか?
営業から「誰もやったことのない仕事をやる係」に
——やっぱりそういうイメージってあるんですね!営業職はどうでしたか?
でも、そこから努力して、なんとかできるようになった頃に新しくできたマーケティング部に転属になりました。
——そこからずっとマーケティングを?
ほんと冗談抜きで仕事しかしてなくて。朝9時から夜19時まで学生の面接をして、そこから22時までコンサル、ようやくそこからが自分の仕事スタートみたいな。勉強もしてたから1日休むのなんて月1回ぐらいあるかないかでしたね。
30歳、突然社長に
そんな風に新規事業に関わり働きづめの毎日でしたが、2015年に会社が危機的な状況に陥ってしまいます。そんな中、30歳で突然社長になりました(笑)
——え!?突然すぎませんか!?危機的状況なのに?
でも、会社が1年経って少し会社が持ち直した時に社長が帰ってきてくださって。それからは、オンライン家庭教師の新規事業やTVのCM作成などをしていました。
スタンフォード大学での気づき
それで視察を続けると、違いは学生の機会にあることに気づきました。彼らは「Meet up」と言うんですが、毎日学内に来る投資家やエンジニア、起業家達と話し合い、アプリを開発するなど実践的な活動をしていたんです。
帰国後、日本の学生にもこうした機会を創れないかと、『教育イノベーターズMeetup』というコミュニティを立ち上げました。
高梁市に移住して教育DXを進める
高梁市に来た理由は、教育を軸に人口減少や地域課題を解決するモデルを創れないかと考えていたからです。その移住後が現在の仕事ですね。古民家リノベに学校のICT改善、高校のコーディネーターと幅広くやっています。
ベンチャー企業時代のエピソード
新規事業担当・社長時代に学んだ「慣れること」
——前職では本当に多忙な毎日だったんですよね。心は折れなかったんですか?
社長時代は追い詰められていましたし、決めなくちゃいけないことだらけで、きつかったです。そんな時、コンサルティング業務で顧客になってくださっていた社長さんから頂いたアドバイスが心に響きましたね。
「社長になると嫌なことがいっぱいあるよ。社員も好き勝手言うし、決断しなきゃいけないけど決めたらああだこうだ言われる。本当に嫌なことしか起きない毎日。だけど大丈夫、慣れるから」
そっか、慣れなんだって(笑)まぁそれも一つの積み重ねかと思って、何度も折れながらやってきました。
立ち上がるヒケツは「諦めること」
——心が折れた時に気持ちを切り替えるコツはあるんですか?
でも、1回頭の中で放り出しちゃうと、意外に気持ちがリセットされて切り替わるんです。すると「応援してくれた人や助けてくれた誰かのためにも投げ出せないし、なんとかしてみよう」って踏ん張りが効いてきます。一人コントみたいですけどね(笑)
——そうやって立ち上がって新規事業を開拓してきたんですね!
どうやるかはわからないけど、経験則としてみんなが賛同してくれる無難なアイディアは上手くいかない可能性が非常に高い。でも、新しいことはやっぱり周りから反対意見を受けやすい。そういうものだから、人から何を言われても気にすることはないと思うんです。
——9割はうまく行かないんですもんね。勉強になります!
自分を変えるためにはどうしたら?
人間は習慣の動物、はみ出す練習をしよう
——何か新しいことをしようと思っても、マイナス面を考えてしまい思い切った行動ができないことがあるんですが、どうしたらいいでしょうか?
どんな小さなことでも、選択肢があったときには、今までの自分なら選択しない方はどちらかなと考えてみて、それををあえて選ぶ。それを繰り返すんです。時間をかけると人間慣れた方を選んでしまうので、コツはほとんど時間をかけずに決めること。
例えばランチのメニュー。僕は訓練のため「2秒で決めろ」と以前言われて、10年間2秒でランチを決断する訓練をしました。そんな小さなことでも10年続ければ3650回決断することができます。そうやって新しいことをしていると、やっぱり人間慣れてくるんです。意識的に行動パターンをずらす練習をしていると、小さなハードルが外れてきますよ。
上手くいっている人をみつけて完コピしよう
——営業が苦手だったけど、努力して克服されたという話がありましたが、どんな方法をされたんですか?
それをひたすら繰り返す中で大事なポイントも掴めるようになって、半年ぐらいコピーの訓練をしたら営業ができるようになっていました。軽い会話のネタも20個くらい用意しておいて、家で全てのパターンを反復練習してました。
——なるほど!お手本を自分のものにしていくんですね。
——そうやって横山さんはちょっと自分を変えていったんですね。
どんなことでも、悲壮感が漂っていると人が集まってこないので、何事も明るく楽しそうにやることが大切だと思います。頑張ってください。
——今日は本当にありがとうございました!
(編集:北原泰幸)
元々東京に住んでいたんですが、祖父母が横浜にいたので、そこへ引っ越すことになってしまったんです。元々学校の先生になりたいと考えていたのもあったので、そのときから「会社経営って怖いな。やっぱり将来は安定の公務員がいい!」と思うようになりました。