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動物好きの市役所職員・多田英行さん

この記事では、動物が大好きで獣医師の資格を持ちながら倉敷の市役所職員として務める多田英行(ただひでゆき)さんの生き方に触れていきます!

 

ひでさんが今のひでさんになるまで

——今日はよろしくお願いします。ひでさんはどんな子どもだったんですか?

 

もの心ついた頃からなぜか動物が好きな子どもでした。それが今も変わらず、おっさんになってもニヤニヤしながら動物と一緒に自撮りしています。

 

「動物が好き」を出発点として、小さい頃から獣医を目指していました。

 

——中学校時代にはどんなことがありましたか?

 

獣医を目指して勉強に打ち込む一方で、陸上部に入部しました。僕は元々運動音痴で体操も球技も本当に苦手なんです。でも、なぜか長距離走だけはすごく得意になって。その経験から「自分の苦手なことの中にも、何か一つでも得意なことがあるかも」と思えるようになりました。

 

——高校・大学時代はどのような生活でしたか?

 

高校時代は本当にしんどい人生最大の暗黒期でした。受験では獣医学科のある大学に合格でき、大学では楽しく過ごしていました。

 

大学に入るまでは犬猫とかペットに興味があったんですけれども、大学では野生動物観察サークルに入ったことで興味の幅が拡がりました。先輩と一緒にサル、カモシカ、クマや野鳥、色々観察していました。

 

その中で「野生動物の保護に関わっていきたい」と願うようになり、社会人となった今でもアマチュア研究者として調査・啓発を続けています。

 

——ちなみに、海と山の動物どちらもお好きなんですか?

 

もう、動物ならなんでもOKです。動物園や水族館では1日中過ごせますし、子供の頃は時間があったら近所の川で魚を捕まえてましたから。

 

頭の中は動物一色で人生を送ってきましたが、市役所の職員として勤め始めてからはちょっと変わりましたよ。自分の住んでいる地域や人、その知り合いの住んでいる地域にも興味を持ち始めて、人との交流や地域について考えるイベントにも参加するようになりました。

 

ピックアップ!学生時代のエピソード

苦手の中に「得意」を見つけた中学時代

——中学時代の運動音痴だと思ってたけど、長距離走が得意だったというエピソードについて詳しく聞かせてもらえますか?

 

はい。本当に運動が苦手だったので、文化部を探したんです。だけどいいのがなくて「じゃあ適当な運動部に・・・」とどの部にするか考えていました。

 

その時候補に挙がったのが陸上部でした。「陸上は自分のタイムと向き合う競技だから、やっていけるんじゃないか」って。運動音痴でも記録会には出られますし、個人競技なのでチームメイトに迷惑をかけることもないですからね。

 

入部後は顧問の先生に「お前は短距離よりも長距離の方が向いてる」とアドバイスをもらいました。そうしたそれが大当たりで、運動では学年ビリに近かった僕が長距離だけはトントン拍子で学年トップになれたんです。

 

——すごいですね!長距離って大変なイメージなんですが、「ああ、もう心折れそうだな」ってありましたか?

 

ありました。部活生活の半分以上はやっぱりしんどいですよ。でも、陸上は「タイム」という自分と向き合えるとてもわかりやすい基準があるのがいいところです。以前の記録を1秒でも超えられたときの嬉しさがあるので頑張れました。

 

部員の仲も良く、仲間が自己記録を更新した時はみんなで記録更新を喜びあえて、本当にいい部活に巡り会えたなと思います。

 

——走るのは一人だけど、喜びはみんなで共有していた。すてきな青春時代ですね!

 

動物につながる別の道を探して乗り切った高校時代

——高校の「人生最大の暗黒期」って、どんなものだったんですか?

 

学力が主な原因でした。獣医学って医学や法学の次ぐらいに難しいので、なかなか合格レベルまで学力が伸びず、苦しかったです。その上、高校はレベルの高い人が集まってきているから、自分も頑張っているんだけど周りの人の方がもっと良い成績を取るんですよ。

 

デキる人と自分を比べて、どんどん精神的にブルーになっていってしまいました。

 

——その苦しかった時期をどうやって乗り越えたんですか?

 

高2で成績が伸び悩んでいたとき、獣医以外の道も探してみたんです。それが結果的に大きかったですね。動物つながりで森林科学の宿泊研修に参加して、「獣医以外にも森林保全で動物に関わることもできるんだ」と思えたら、気が楽になりました。

 

——動物につながる道を獣医以外で探してみたんですね。

 

ですね。「絶対に獣医じゃないとダメ」という自分へのプレッシャーがなくなり、良い意味で逃げ道ができました。視野も広がって気晴らしも出来て、落ち着いた気持ちになったことが受験にプラスに働いたみたいです。

 

——「コレしかない!」と正面からしか見られなくなることってありますよね。

 

フォーカス!今までで一番大変だったことは?

高校入学時、新しい友達の作り方を忘れていたこと

——さきほども出た、暗黒期の高校時代ですね(笑)

 

ちょっとかぶっちゃいますが、さっきしなかった話です(笑)

 

住んでいた学区は小中ともに1校しかなかったので、保育園から中学卒業まで丸12年、同じメンバーで進学したので「友達を新しく作る」ということをずっとやっていなかったんですよ。
だから、高校入学当初は友達の作り方が分からず苦労しました。声のかけ方がわからないんですよ。「どうやって声をかけたらいいんだっけ・・・」って(笑)

 

最初の一週間は弁当を一人で食べながら途方に暮れてました。

 

——友達の作り方は思い出せましたか?

 

12年前の記憶をさかのぼりながら友達の作り方を思い出していきました。席の前後の人と話してみるという初歩的なところから。まぁ、保育園時代のノウハウなんてほとんど覚えてなかったですけどね(笑)

 

ジョギングしたらぶっ倒れるほどの夏バテ

——部活はどんなことが大変だったんですか?

 

夏バテです。どうやらなりやすい体質だったみたいで。毎年夏になると1ヶ月間くらい微熱が収まらず、ジョギングしただけでぶっ倒れるような状態でした。

 

——ええ!?陸上部だから外を走るんですよね・・・?

 

しんどかったです。でも、色々やっているうちに秋までの乗り越え方が掴めてきました。この経験は、今も仕事をするときに「ここまでだったら自分を追い込んでいい」とか「体調が悪い時はこうやれば乗り切れる」という感覚につながっています。

 

大変なとき、つらいときは「趣味」が支えてくれる

——ちなみに私はコロナ禍で人と集まれない、「独り」でいることがつらいんですが・・・ひでさんは孤独な時をどうやって乗り越えましたか?

 

動物に癒やされていました。動物園や水族館に行ったり、犬猫とじゃれ合ったり、野生動物を観察しに行ったり。こんな状態なので、動物に見放されたらどうしようって思うときもあります(笑)

独りの時も、仕事で多忙な時も、気晴らしが大切です。趣味は一つでも二つでも持っていると楽ですよ。

 

——それこそ社会人になると忙しくて趣味もできないんじゃないかと思うんですが、どうなんですか?

 

僕の場合はワークライフバランスを重視したというか、休日を趣味の動物との付き合いに使えることを大切にして仕事を選んだので、その点は問題なしです。

 

——なるほど、趣味の時間も確保できたら、仕事も長く続けられそうですね。

 

平日は資格を活かして人のために働き、休日は趣味を活かして動物のために働くという「仕事と趣味の両立」を前提に仕事を選びました。こういう生き方も本当に楽しいですよ。

 

もちろん、動物一筋の仕事に就くという選択肢もありました。でも、お金を貰ってやる仕事は誰かのためにやる仕事です。それが必ずしも自分や動物のために繋がるとは限らない。だから、お金や誰かのための時間だけではなく、「自分や好きなもののための時間」を持つ生き方もいいと僕は思いますよ。

 

誰かのための「仕事」と自分のための「趣味」が全く同じで、端から見たら「仕事に生きている」という人も素敵です。いずれにせよ、好きなことは諦めずに一生続けてほしいですね。

 

——仕事と趣味が別でも一緒でも「好き」があれば支えになる・・・ですね。ありがとうございました!

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